知床の観光船の事故は、発生から5日目です。依然として、15人の安否が分かっていません。番組では、元従業員2人に運航会社の内情を緊急取材しました。観光船事業に対する社長の姿勢が、浮き彫りになってきました。
■社長釈明“スピーカー越し”・・・家族から怒号
沈没したとみられる観光船「KAZU 1」を運行していた「知床遊覧船」の桂田精一社長。26日、3回行われた説明会のうち1回目にだけ、電話のスピーカー越しに出席したということです。
家族からは「資料もなく不十分だ」と怒号が上がったといいます。残る2回には、参加しませんでした。
桂田社長は、27日午後1時半から、家族向けに事故の経緯などを説明し、午後3時半から記者会見を行う予定です。
■救命胴衣5つ リュックから絵本やお菓子
現場では、26日も懸命の捜索が続きました。
現場海域近くでは、海上保安庁の巡視船が確認できます。隊員らが潜って船の捜索を行っているということです。
捜索範囲を陸上にまで広げ、手掛かりを探しました。海上からは、新たな手掛かりが見つかりました。
捜索に出た漁船の船員:「(Q.何個ぐらい引き揚げた?)救命胴衣が5つあったかな。リュックが2つ、靴が1つかな」「(Q.まとまったところに?)いや、もう点々として」
この時、見つかったリュックかは分かりませんが・・・。
第1管区海上保安本部 警備救難部次長:「小型のリュックが見つかって、その中に絵本やお菓子が詰まっているようなリュックが見つかっているというのは、報告を受けている」
26日は、新たに発見された人はいませんでした。今のところ、乗客乗員26人のうち11人が見つかっていますが、全員死亡が確認されています。
■地元漁師 無線アンテナ“壊れていた”
なぜ、こんな悲劇が起きてしまったのでしょうか。
事故当日、「KAZU 1」は自分の会社ではなく、同業の他社に無線連絡を入れていました。それには、こんな事情があったといいます。
地元の漁師:「見て頂いたら分かると思うが、船と連絡を取るアンテナですね。無線のアンテナが折れているというのが分かる。テレビのアンテナの右側。本来、あの上から長くそびえ立っているものなんですけど、それが折れているんです」
■元従業員 船長の「サービス精神すごかった」
ずさんな運営が疑われる知床遊覧船と、その親会社。番組では、会社の元従業員2人から話を聞くことができました。
会社の元従業員:「まあ雑ですね、お金」
桂田社長について、こう話す男性。おととしの夏から数カ月の間に、観光船事業や宿泊施設など、3カ所を渡り歩いたということです。
なかでも印象に残っているのは、使っている“観光船”でした。
会社の元従業員:「私が初めて、この会社に来て、2艘(そう)の船を見た時、かなり印象としてボロいなと。内装のシートカバーもひどいですし、とにかくボロ船」
大切にされていなかったという観光船事業。そのなかで、豊田船長は、次のようなメッセージを送っていました。
豊田船長から届いたメッセージ:「遊覧船、きょうから営業開始。新しい同僚も、来週から来るから、頭数はそろった」
メッセージの送り主は、「KAZU 1」の豊田船長です。日付は今月23日、事故の起きた日の朝7時のことです。メッセージの相手の男性に、話を聞きました。
元観光船甲板員:「それが、23日の事故の日の朝ですね。まあ、頑張ってねと」「(Q.メッセージ送ったことについては?)なかなか言葉には出せないですね」
男性は、2020年に豊田船長と同期で、甲板員として雇われ、退職後も、船長ら従業員らとやり取りを続けていました。仲が良かったという船長の人柄について、次のように話します。
元観光船甲板員:「無理をするんです。イケイケっぽいところが。お客さんがお金を払っているから、とりあえず(船を)出すとこまで出す。出さないと、お客さんが納得しない。やっぱり、サービス精神がすごかったので、お客さんに対して。だから、欲張ったのかなって」
男性が働いていた当時、知床遊覧船の社員は、桂田社長と豊田船長の2人だけだったといいます。他の船長や甲板員などは、宿泊施設の従業員。しかも、4月から10月ごろまでの期間社員だったということです。
■去年は“浮遊物に衝突”元船員「会社に不信」
男性が会社を辞めた理由について、次のように話しました。
元観光船甲板員:「去年の5月に起きた事故で、3人けがされてたってなってると思うんです。浮遊物にぶつかったくらいで、お客さんがけがをしたってあるんですけど」
去年5月、「KAZU 1」が起こした事故について、海上保安庁に届け出られた内容は、「浮遊物にぶつかり3人のけが人が出た」と報告されていますが・・・。
元観光船甲板員:「血を出したお客さんは、2階のベンチに座っていて。その時、お客さんが座っていたベンチが、ドンとぶつかった瞬間に、ベンチが外れてしまったんです。固定されているベンチが」
事故に対する会社の対応に不信感を持った男性は、自ら海上保安庁に報告をしたというのです。
そして、23日の事故の後、社長は、今週から働き始める予定だった新人船長候補2人に、こう語ったといいます。
元観光船甲板員:「(新人船長候補に)僕が、『社長、何か言ってました?』って聞いたら“豊田さんの船が”ってのは言ってたけど、『25の週(今週)に来るか来ないか決めった?どっち分かったら教えて』って普通に言ってましたよと。事故を起こしたのに、そんなことを聞くのも、おかしいですよねって言ってました」
(「グッド!モーニング」2022年4月27日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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