「GPS機器」外されてた? “知床観光船”今も15人が不明(2022年4月25日)

 知床半島沖で26人を乗せ観光船が消息を絶った事故を巡っては、いまだに15人の行方が分からないままです。25日午後、国の運輸安全委員会の事故調査官が取材に応じ、事故について聞き取り調査を開始したと明らかにしました。

 国土交通省・船舶事故調査官:「まだ(情報を)収集している途中なので、現在のところ申し上げることは特にございません。漁協で、この辺の海洋特性とか船乗りの方に色々聞いています」

 消息を絶った知床の観光船「KAZU1」。乗客乗員26人のうち11人が発見され死亡が確認されました。

 大自然のもとで起きた悲惨な事故には疑問も残ります。

 KAZU1は23日午後1時すぎ、知床半島の「カシュニの滝」付近で救助を要請。

 しかし、最初の救出は約16時間後となる24日午前5時すぎでした。なぜこれほど時間がかかったのか・・・。

 海上保安庁の関係者によれば、KAZU1は21日に行われた安全講習の際、本来あるべき「GPSプロッター」が取り外されていました。これは船が「どこにいるか」を把握する装置です。

 海上保安庁の関係者:「(GPS(全地球測位システム)装置を)付けていないとしたら大変なこと」

 ただGPSと救助には、さほど関係がないとする専門家もいます。

 日本海難防止協会・池嵜哲朗企画国際部長:「(GPS装置は)原理としては車のカーナビと一緒ですね。自分の位置を割り出すものです。今回の場合、ウトロから知床の先端までということで、行動の範囲が限られていますから(仮にGPS装置がなくても)そんな間違いにはならないと思いますが」

 「遅れ」の原因は「救出する側の事情」もあったようです。

 例えば海保のヘリ。捜索を始められたのは通報から3時間以上経った後でした。

 海保のヘリは当時は通常の哨戒でフライト中でしたが、給油と「釣り上げ救助」の装備を載せるために現場から160キロ離れた釧路の基地に戻ったといいます。

 もう一つの要因とみられるのが潮の流れ・・・。

 北海道大学の三寺史夫教授によれば、この季節は西から東に流れています。

 現場が「カシュニの滝付近」なのに半島の先端で発見されたのは、このためとみられます。問題はスピード。当時は波が3メートルもあり、これが流れを加速させた可能性があります。

 北海道大学低温科学研究所・三寺史夫教授:「(Q.波と海流の関係は?)非常に関係あります。特に海岸近くで波が崩れた時に、それがまた潮の流れを作る。それによって遭難場所から離れてしまうということは十分あって、発見が思ったより遅くなることはあり得るかなって気がします」

 厳しい条件での運航で必要となるのがスタッフの経験。ただ、この運航会社は特殊な事情を抱えていました。

 運航会社を知る人:「一流のベテランばかり4、5人いた。責任者ばかり4、5人。それを(社長が)全員、解雇したのさ」

 そんななか、この会社は過去に座礁事故を起こしていたといいます。

 別の運航会社の従業員:「去年2回くらい座礁事故を起こしていて、船の前側が割れていた。誰が見ても分かる。去年から直していないから」

 そんな船に乗った観光客の家族は・・・。

 行方不明の鈴木智也さんのお父さん:「彼女にも黙ってサプライズで誕生日祝いをしてやろうと(していた)。一日も早く捜索して見つけて暖かい布団を早く掛けてあげたい」

 乗客ら15人の安否は25日午後5時点で分かっていません。

 三寺教授によれば、現場海域の海流は北方領土方面に向かっています。

 北海道大学低温科学研究所・三寺史夫教授:「早く見つけないと中間線を越えちゃいます。北方四島との中間線。少なくとも海上保安庁の船は行けないので」

※「1(ワン)」は正しくはローマ数字
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

powered by Auto Youtube Summarize

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事