ウクライナ東部への集中攻撃を開始したロシア軍。今のところ地上部隊の一斉侵攻という形ではなく、長距離砲撃が主体とみられています。ドネツク州では、街を襲う砲撃や空爆が急増しています。
CNN、ウェデマン上席特派員:「午後3時を回ったところです。建築資材置き場にミサイルが命中し、大きな被害が出ています。あちらで1人がなくなり、遺体にはシートがかけられています」
病院では、次々に運ばれてくる負傷者への治療が絶え間なく行われています。戦火が迫るなかで多くの市民は避難しましたが、街に残る人も決して少なくありません。特に、障害のある人や高齢者、失業してお金がない人なども多いといいます。
住民:「雇用主は街から出ていき、職を失いました。生活の手段がなく、貯金も使い果たしました」
場所によっては、ロシア軍を撃退し、奪還した地域もあります。
ウクライナ軍参謀本部報道官:「ドネツク海峡のマルインカ市付近で、我が軍が反撃した結果、敵は損害を受け後退し、村を奪還した」
ただ、これは決して楽観できるものではありません。ロシア軍の部隊増強は、まだ終わっていないとみられているからです。
アメリカ国防総省、カービー報道官:「東部や南部で『大隊戦術群』を増やしたようだ。ここ数日間で10以上、追加配備されたことを確認した」
ロシア軍の主力部隊である『大隊戦術群』は、戦車部隊に歩兵、砲兵、工兵、通信など、様々な分野の部隊組み合わせて統合運用する“多機能型の機動部隊”です。1つの群を構成する兵士は1000人程度。今、これが東部に集結していて、先週は65群だったのが、現在78群になり、今後もさらに増強されるであろうというのが、欧米の見立てです。
アメリカ国防総省高官:「現在のロシア軍の動きは、さらに大規模な攻勢の前触れにすぎない」
念頭にあるのは、序盤戦での失敗です。ロシア軍は、キーウ攻略で拙速な侵攻が失敗した教訓から、今回は攻撃前に戦力や補給体制の確保を入念に進めています。一方のウクライナ側も、地形をよくく知り、補給路も確保しているため、戦闘が長期化する可能性が指摘されています。
CNN:「警戒すべきは、ロシアがどう東部へ侵攻するかです。一部ウクライナ軍が集中している場所があります。どこも包囲される寸前ですが、地形が有利に働くかもしれません。ウクライナ軍がいかに平原へ進出するかがカギになります。第2次大戦と同様に“戦車戦”となる可能性があります」
ウクライナ軍にとっての頼みの綱は、欧米からの軍事支援です。つい1週間前にアメリカが発表した1000億円分の追加支援は、早くも到着したといいます。初めて送られた155ミリ榴弾砲。早く戦線に投入できるよう、ウクライナ兵士への訓練がすぐ始められるといいます。
アメリカ国防総省、カービー報道官:「戦況やロシア軍の目標も変わったので、供与する武器も変わった。ドンバスでの戦いには双方で長距離砲が必要になる」
東部のなかでも他とは状況が違うのがマリウポリです。製鉄所の地下には、年端もいかない子どもたちや高齢者など、数百人の弱き人々が身を寄せているといいます。彼らをなんとか安全な場所に。守備隊の司令官がSNSにあげたメッセージは切迫したものでした。
第36独立海兵旅団、ボリーナ司令官:「世界に向けて最後のメッセージになるかもしれません。残っている時間は何日か、または何時間でしょう。敵は私たちの10倍います。ここには500人以上の負傷者がいます。女性と子どもを含めた数百人の民間人もいます。第三国で身の安全を保証してほしい」
これに対し、2つの大きな動きがありました。1つは、ロシア軍がまた降伏勧告を出したこと。2つ目は、ウクライナとロシアがマリウポリの市民を避難させるための“人道回廊”の設置に合意したということです。
両方とも、その開始時刻が日本時間20日午後8時。この動きが市民の命を左右することになります。求められる迅速な避難。マリウポリの惨状については、こんな分析も出ています。
欧州の当局者:「プーチン大統領は5月9日までにマリウポリの“解放”を宣言する可能性があるため、向こう数日で陥落するだろう。マリウポリは完全に破壊され、多くの民間人が犠牲になる。ブチャを超える惨状になる可能性がある」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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