500万円かかるケースも 不妊治療  広がる保険適用に期待と残される課題(静岡県)

4月1日から体外受精や人工授精など新たに対象が広がった不妊治療の保険適用。治療を受ける夫婦にとって経済的な負担の軽減につながると期待されます。

<不妊治療を受けている女性>「人工授精は6回やりました。体外受精は10回を超えてしまいました。(どのくらいお金がかかっている?)もう相当かかっていて、500万近くかかっているかもしれないです」
 5年半、不妊治療を続けている33歳の女性です。女性は3年前から体外受精の治療を続けていますが、1回に平均50万円ほどかかると言われていて、金銭的な負担は大きな課題です。年間で3000組以上を診ている静岡レディースクリニックの内田理事長は。
<静岡レディースクリニック 内田玄祥理事長>「(治療を)やめられる方は、年齢とか仕事の要因はあるにしても、結局はお金が続かないとか、かなりの割合はそういう方」
 不妊治療を続ける人にとって救いの手となりうるのが、「保険適用の拡大」です。これまではタイミング法などに限られていましたが、4月からは、精子や卵子を採取し、受精させたあと体内に戻す「体外受精」や注射針などを使って卵子に精子を注入する「顕微授精」などにも保険が適用されます。
<不妊治療を受けている女性>「今まで全額負担で10割支払いしていたのが、3割に軽減されるのですごく助かります。共働きなんですけど、私のお給料を全部治療に使ってきたので、少しずつ貯金ができるかなと考えています」
 しかし、不妊治療には金銭面以外の課題がまだ残っています。
<静岡レディースクリニック 内田玄祥理事長>「ほとんどの方が仕事と両立されてるんじゃないですかね。理解がある職場やお休みが取りやすい職場であればいいが、なかなかそういうところばかりじゃないので、苦労されている方はいらっしゃる」
 国のアンケートによると、不妊治療を経験した人や検討している人のうち、7割以上の人が仕事との両立が難しいと回答しています。難しい理由は、多い順に、通院回数、経済面の負担、仕事の日程調整が難しいなどがあげられました。治療によっては、週に2~3回通院する必要があり、仕事か治療のどちらかをあきらめるケースも少なくありません。
 富士市の自動車部品メーカー「ジヤトコ」です。不妊治療と仕事の両立に早くから取り組んでいます。
<ジヤトコ人事総務部 平井梓主担>「ジヤトコでは2008年度から、ライフサポート休暇というものを導入していて、いくつかの事由によって休暇が取得できるが、そのうちの1つに不妊治療の休暇があります」
 年間で30人ほどが不妊治療の休暇を取得していて、社員の間でも安心感が広がります。
<ジヤトコ 伏見菜美枝さん>「(不妊治療で)悩んでいる人もいると思うので、休みが取れると安心だと思います」
<ジヤトコ 増井史哉工長>「実際、自分がそういう立場に置かれたときには、非常に力強いライフサポートだと思います」
 保険適用が拡大し、金銭面の負担が減る人は増えますが、今後は不妊治療の機会を得た人が治療を続けていきやすい環境を整えていくことが必要になります。

#LIVEしずおか 4月5日放送

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