ウクライナへの侵攻が始まって1カ月。激しい戦闘が続いています。
■ロシア軍 目標を“下方修正”か
ロシア国防省は25日、この1カ月を総括する会見を開き、これまでの成果を強調する一方で、作戦の方針転換とも受け取れる説明をしました。
ロシア国防省:「全体として、作戦の第一段階の主な目的は達成された。“ドンバス解放”という主要目的達成のために力を結集できる」
首都キエフや第2の都市ハリコフを落とせないなか、「ウクライナ東部・ドンバスでの作戦に集中する」との発表に、欧米側からは、目標を下方修正したとの見方が出ています。
この週末には、ウクライナ南部ヘルソン近郊の飛行場で、ロシア軍のレザンツェフ中将が戦死。ロシア軍将官の死亡は、7人に上ります。
度々指摘される、士気の低下を防ぐためでしょうか。プーチン大統領は、現地の兵士を鼓舞するコメントを発表しました。
プーチン大統領:「尊敬する同志の皆様。皆様は、最高の勇気とプロフェッショナルを持ち、目の前の困難な課題を正しく、明確に解決されています。国全体が、あなた方一人ひとりのことを文字通り、誇りに思っています」
■マリウポリは「恐ろしい光景」
早期決戦の目論見が外れ、苦戦するなか、ロシアが今後重点を置くと宣言したドンバス地方は、すでに多くの地域が支配下にあります。
ロシア国防省:「ルガンスク人民共和国の93%、ドネツク人民共和国の54%の地域が解放されたなか、マリウポリ市内だけ戦いが続いている」
激戦が続く、ウクライナ南東部のマリウポリ。仮にロシアが占領すると、アゾフ海に艦隊を配置できるだけでなく、8年前に併合したクリミア半島まで陸路でつながります。
ロシアにとっては、のどから手が出るほど欲しい戦略的に重要な都市なのです。
マリウポリへの攻撃は、容赦なく続けられています。16日には、女性や子どもが避難していた劇場をミサイルで攻撃。地元当局によると、およそ300人が犠牲になりました。
生存者:「人々は泣き叫び、子どもは母親を捜していました。私は泣き続けました」
マリウポリの上空から撮影されたドローンの映像では、見渡す限りすべて灰色の世界が広がっています。
元々、集合住宅だったという建物は、壁がすべて剥がれ落ち、反対側の空が見えます。今も、この街には10万人以上が取り残されているといいます。
マリウポリ市民:「アパートが燃えて『消してくれ、消してくれ』と頼んでも、誰も助けてくれない。目の前で人が死んでいく。水も食料も何もない」
マリウポリのテレビ局経営者・ニコライさんは、地獄のような光景を目の当たりにしました。
マリウポリテレビ・ニコライ社長:「建物は破壊され、窓は粉々になり、街の光景は元の姿を全くとどめていません。道を走っていると、辺りに子ども、女性、多くの人たちが横たわっているのです。恐ろしい光景でした」
ニコライさんは、無事マリウポリから避難できましたが、テレビ局は攻撃を受け、スタッフ89人のうち48人の消息が分からないといいます。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、マリウポリの厳しい戦況に触れ、国際社会に軍事支援を求めました。
ゼレンスキー大統領:「十分な数の戦車や軍用機がなければ、マリウポリの包囲を解くことは不可能だ。求めているのはNATO(北大西洋条約機構)の全軍用機の1%、全戦車の1%に過ぎず、これ以上は求めていない」
■バイデン大統領が“痛烈批判”
東部の作戦に集中するとしたロシアでしたが、26日にウクライナ西部の都市リビウを攻撃しました。
CNNアンカー ドン・レモン氏:「東部のドンバス地方から見ると、とても西に離れた場所です。リビウは西部で最大の都市です。ここは安全だと考えられていました」
ロシア軍はなぜ、ウクライナ西部のリビウを攻撃したのでしょうか。実はこの時、アメリカのバイデン大統領がウクライナの隣国・ポーランドを訪問していました。
バイデン大統領:「(Q.プーチンがしたことについては?)彼は虐殺者だ」
リビウ市長:「侵略者は、バイデン大統領への“あいさつ”として(爆撃を)行った。ポーランドとの国境から、70キロのリビウが狙われた。深刻な脅威であることを気付かなければならない」
バイデン大統領:「NATOの領土の1インチたりとも、移動させられるなどと考えるな。私たちは、NATOの領土の隅々まで、総力を挙げ、全力を尽くして守るという神聖な義務を負っている」
同盟国の結束を訴えたバイデン大統領。返す刀で、プーチン大統領を痛烈に批判しました。
バイデン大統領:「プーチンの侵略は、ロシア国民を世界から切り離し、19世紀へと逆戻りさせている。神にかけて、この男が権力の座にとどまることはできない」
CNNによると、この発言は事前の原稿には無い発言でした。アメリカがプーチン政権の体制転換を目指しているとも受け取れる発言で、ロシア当局からは批判が上がりました。
ロシア大統領府・ペスコフ報道官:「(プーチン大統領の去就は)バイデン氏が決めることではない。ロシアの大統領は、ロシア人によって選ばれる」
この発言が欧米からの脅威として、ロシアの侵攻を正当化するために使われる恐れもあり、ホワイトハウスは「政権の転覆を意図したものではない」と釈明しました。
(「グッド!モーニング」2022年3月28日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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