“反戦デモ”参加者が激減・・・ロシア国内で一体何が(2022年3月20日)

ロシアでは、国営テレビの職員が生放送中に「反戦」を訴えました。今後、ロシア国内で戦争への抗議活動は大きなうねりとなるのか?反戦デモを呼びかける人物を取材すると、ある異変が見えてきました

▽「反戦デモ」参加者激減 国内に“異変”
ウクライナへの侵攻支持の象徴となった「Z」の文字を掲げて疾走するのはプーチン大統領の親衛隊「夜のオオカミ」
クリミア半島を一方的に併合してから8年となる18日、ロシア各地で大規模な集会が開かれました。
(ロシア プーチン大統領)「ジェノサイド(集団殺害)から人々を解放させることこそが、私たちが軍事作戦を始めた動機と目的です」
会場のスタジアムと外の広場には約20万人が集まったといいます。 

一方、この日はウクライナ侵攻に反対する「反戦デモ」も呼びかけられていました。SNSでこの呼びかけを行ったロシアの反体制活動家グルディーナ氏。
(「反戦デモ」を呼びかけた ヴィオレッタ・グルディーナ氏)
「今は集会を組織するのは難しいです。警察がたくさんいて、プラカードを掲げるのは極めて危険でした」
ウクライナへの侵攻直後にはロシア各地で大規模な反戦集会が起きましたが、人権団体によると
「この1週間の参加者は数十分の一にまで減少」しているといいます。いったい何が起きているのでしょうか?

▽国営テレビで「反戦」辞職する職員も
国営テレビの生放送中に「反戦」を訴えたオフシャニコワさん。
【プロパガンダ(政治宣伝)を信じないで あなたは騙されています】
国営テレビが流す政権のプロパガンダに騙されないよう訴えました。
(国営テレビ職員オフシャニコワさん 事前投稿ビデオ)
「いまウクライナで起きていることは犯罪です。ロシアが侵略者になった責任はプーチンにあります。私はクレムリンのプロパガンダ(政治宣伝)の仕事をしてきました。いまそのことを恥じています」
放送された時間は約5秒。突然の乱入ですがスタッフに動じる様子がないように見えます。
この件を最初に詳しく報道した独立系メディア「メドゥーサ」に聞きました。
(独立系メディア「メドゥーサ」 アイリッシュ・ハートさん)
「局内のニュースルームでは欧米メディアの報道が見られます。彼女はインタビューで『他の職員も自分と同じ思いを持っていますが、家族を養うため収入がなくなるリスクを負うことはできないのだ』と語っています」

メドゥーサは、オフシャニコワさんの他にもこのテレビ局の複数の職員が同じ時期に辞職したと伝えています。ロシア国民の中で、“反戦への思い”は日増しに高まっているといいますが・・・
ロシア当局が「虚偽」とみなす情報を発信すると処罰される法律が4日に成立。「反戦」を訴えただけですぐ連行されるといいます。
こちらの男性が持っていたのは何も書いていない「白い紙」なのですが・・・
(警察)「違反行為をすぐに止めることを要求する。繰り返します、すぐに止めなさい」
「連れていかれたよ」
人権団体によるとウクライナ侵攻以降、少なくとも159都市でおよそ15000人が拘束されたといいます。

▽封じられる反戦デモ・・・呼びかける人語る
現在ロシアで収監されている反体制派の指導者ナワリヌイ氏。11日、SNSで反戦デモへの参加を呼びかけましたが、その4日後、検察当局から新たに禁固13年を求刑されました。
ナワリヌイ氏の政治活動を支援する反体制活動家のグルディーナ氏も・・・
去年、市議会選挙に出馬を表明したところ、何者かが事務所を銃撃。家族を守るためヨーロッパへの亡命を余儀なくされたといいます。
(「反戦デモ」を呼びかけた反体制活動家ヴィオレッタ・グルディーナ氏)
「プーチン政権は『戦争』を『戦争』と呼ぶことを禁止しました。正気の沙汰とは思えません。我々のような反体制派は“裏切り者”というレッテルを貼られています」
プーチン大統領は国内にいる「裏切り者」を排除するよう国民に訴えています。
(ロシア プーチン大統領)
「ロシア国民は本物の愛国者と卑劣な裏切り者を常に見分けることができる。口の中に入ってきたハエのように道端に吐き捨てるのだ」
人権団体は、“第二次世界大戦前夜”のようだと危機感を募らせています。

▽経済制裁で“暴力的なデモ”発生も?
(ロシアの人権団体「OVDインフォ」マリア・クズネツォワ報道官)
「(会場では)群衆がイメージ画やスローガン、『Z』の文字を記したものを持っていました。まさに1930年代の第二次世界大戦前夜のような雰囲気だったそうです。」
力で抑えつけられている“平和的な反戦デモ”。しかしその代わりに、今後は経済制裁の影響で“暴力的なデモ”が発生する可能性があるといいます。
(ロシアの人権団体「OVDインフォ」マリア・クズネツォワ報道官)
「制裁で経済が大きく落ち込み、たくさんの人が職を失いました。経済的なデモが大規模にならないとしても、参加する人々はより過激になるでしょう。」

3月20日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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