ソ連の独裁者、スターリンの別荘=森に溶け込むモスグリーンの館

ソチ冬季五輪観戦の合間に、ソチにある旧ソ連の独裁者スターリンの別荘を訪れる外国人が増え、人気スポットになっている。

 別荘は屋根や壁など全体がモスグリーンに塗られ、周囲の森がカムフラージュになる。暗殺を異常なほど恐れた独裁者がつくったニンジャ屋敷だ。

 スターリンは関節痛、リウマチ、頭痛に悩まされ、近くの有名な硫黄温泉に療養に来ていた。別荘は1937年に建てられた。

 ガイドさんの案内で、スターリンが使っていたビリヤード台やチェス盤、電話、世界地図を背に座るスターリンのろう人形などを見て回った。デスクには毛沢東から贈られたペン立てとインクつぼなどのセットがあった。

 スターリンの滞在中、別荘の周囲には2重に警備の封鎖線が張られた。影武者もいた。バルコニーは狙撃されないよう幕で覆われていたという。ここまでくればパラノイア(偏執症)。

 ガイドさんは「スターリンはチャプリンの喜劇映画が好きで、別荘で上映させました。でも見るときはたいてい独り。自分の感情を周囲に見せたくなかったのです」と話す。

 もう一つ印象的なエピソード。「スターリンはしょっちゅう靴を磨いていましたが、人には任せず自分で磨いていました。誰も信頼しなかったのです」。やはり独裁者は孤独だった。【時事通信ソチ取材班撮影】

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