ウクライナSNS戦略のキーマンは31歳のデジタル担当大臣

SNS時代、「争い」のカタチも少し変わってきているのかもしれません。ウクライナのゼレンスキー大統領はSNSを使って積極的に情報発信し続けています。義勇兵の呼びかけもSNSで行い、50か国以上から約2万人という希望が集まったそうです。こうしたSNS戦略のキーパーソンか?と言われているのが31歳のデジタル担当大臣、フェドロフ氏。「ハイテクは戦車に匹敵する最良の解決策」とするだけあって、様々な戦略を仕掛けているようです。その他、日本国内でもSNS上にあがる「平和」や「支援」に関する発信などについて解説します。

■SNSから発信続けるウクライナ 規制するロシア

渡部峻キャスター:
今回のウクライナ情勢について、SNSを軸にして見ていきます。
まずウクライナは、ゼレンスキー大統領自らがSNSを使って情報を発信し続けています。3月7日には大統領府で自分で撮影した動画を公開しています。さらに大統領自身で義勇兵をSNSで呼びかけまして、これに対し52か国から2万人の志願があったということです。

ゼレンスキー大統領の3月9日時点のSNSのフォロワー数ですが、▼インスタグラム:1536万人、▼フェイスブック:242万人、▼ツイッター:509万ということです。ウクライナ情勢の行く末を世界中が注目しています。

一方で、ロシアでは3月4日、プーチン大統領がロシア国内でのSNSへの規制強化を発表しました。これにより、フェイスブック、ツイッターへのアクセスが制限されているということです。SNSで積極的に公開を続けるウクライナ、一方で制限するロシア、ここに違いがあります。このことについてAP通信は3月5日、「ロシアが何年も続けてきたプロパガンダ戦術は、SNSで即座にそして確実に反論される現実にぶつかっている」と解説しています。

■キーマンは31歳のデジタル大臣 イーロン・マスク氏にも協力打診

こういったSNSの情報戦ですが、そこにはゼレンスキー大統領の側近の存在があります。副首相兼デジタル相のミハイロ・フェドロフ氏、31歳です。大学卒業後、広告会社を起業し、大統領の外部顧問を務め最年少で閣僚になりました。

フェドロフ氏について、イギリスのBBCは3月7日、「首都にある地下シェルターからロシアにデジタル戦争を仕掛けている」と伝えました。フェドロフ氏がいかにインターネットに長けているかということを表しています。

フェドロフ氏はSNSで企業に協力要請を行っています。ツイッターでは、「ウクライナにスターリンク(衛星ネットワークサービス)を提供してください」というお願いをアメリカの実業家、イーロン・マスク氏に送りました。すると、イーロン・マスク氏が「ウクライナでスターリンクを利用できるようになりました」と返し、後日、トラックの荷台の中に、衛星ネットサービスの機械を入れてウクライナに送ったということです。

さらに、フェドロフ氏はSNSで多国籍企業にロシアをボイコットするように呼びかけました。その書面もSNSに公開しています。フェドロフ氏は「ハイテクは戦車に匹敵する最良の解決策」だと話しています。

井上貴博キャスター:
自分よりも若い世代、31歳が中心となって、ロシアの力にSNSの力で対抗しているっていう。そういうことみたいですよ。

ホラン千秋キャスター:
全てのSNSを自由に見られるような状況でなかったとしても、インターネット上に方法がある。そうなるとロシア国民も、ロシアがやっていることはとんでもないことだなという現実を知ることもできると思います。そこからロシアの中でこの戦争をやめましょう、という動きが広がる可能性もありますし、SNSの力が大きいんだなと感じますよね。

井上キャスター:
しかもゼレンスキー大統領は元々人気のタレントさんで、芸能事務所を持っているような方だからこそ発信も上手。よく中国はロシア以上に情報統制を敷いていると言われますけど、そういった情報統制がもう効かないような世の中に、SNSの力でなっていくということも一つ願いますね。

■サービスの利用料が無料に 日本からでもSNSでできる支援

渡部キャスター:
SNSの発信というのは、ウクライナだけではありません。日本国内でもSNS上で抗議の声が相次いでいます。

「我々が今できるのは、SNSで反対の声を拡散して、プーチン氏に伝えていくことでは」
「ウクライナの人たちに対し、少しでも平和を祈る発信続けたい」
「SNSツールを使う。それが私の戦争反対の抗議運動」

さらに3月5日、東京・渋谷では、主催者発表で約4000人がSNSの呼びかけで集まり、平和を訴えるデモを行いました。沖縄や広島など各地で実施されたということです。

他にも、SNSを使ったウクライナに向けた支援の動きがあります。「ツイキュア」というサービスでは、SNSを介して医師への医療相談が可能なサイトです。本来ならば月額500円でサービスを使うことができるんですが、ウクライナからのアクセスなら期間限定で無料にする、こういった支援の形もあるということです。

井上キャスター:
SNSの負の部分がニュースになることが最近多いですけど、SNSの力が良い方向に向いていくことは素晴らしいなと感じます。

ホランキャスター:
うまく活用するということですよね。アナログの情報ももちろん必要だと思うんですが、SNSの特性を活かして、“ウクライナとともに私達の気持ちはありますよ”ということを直接伝えることもできますし。良い活用法が広がればいいなと思います。

井上キャスター:
ウクライナの一部でインフラが遮断されているということですから、水・電気を届ける手立てがないのか、SNSもその一翼を担ってもらいたいものです。
(09日18:45)

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