「何のために進むんだろうという恐怖感も」ロシア軍“足止め”士気にも影響か(2022年3月21日)

ロシア軍は20日午後11時前、ウクライナの首都キエフ中心部のポジール地区にある、巨大ショッピングモールを砲撃しました。このショッピングモールはキエフで最大規模を誇り、一日8万5000人が訪れます。また、近くにはマンションが立ち並び、病院や学校もある地域です。

キエフ、クリチコ市長:「8人が亡くなり、3つの建物が破壊されました。キエフの人たちにお願いです。軍事車両の動きを撮らないで。インターネットに載せないで。チェックポイントも撮らないでください」

攻撃対象は軍事施設だけと主張し続けるロシア。しかし、実際は、民間施設への攻撃が拡大しています。南東部の都市マリウポリでは19日、ロシア軍が避難者のいる美術学校を爆撃したと、市当局が発表しました。学校には子どもや女性、老人など約400人が避難していて、がれきの下敷きになっている人もいるということです。

ドネツク州、キリレンコ知事:「ロシア軍の砲撃、空爆、街中での攻撃が続いています。ボランティアが砲撃され、残念なことに被害者も出ています。ロシア軍は民間人を砲撃する理由すら見つけようとしません」

マリウポリでは過去1週間に、市内で避難している住民数千人が、ロシア軍に連れ去られたと市議会が訴えています。多くは女性や子どもで、避難所となっている体育館などから連れ出されたと主張しています。

ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「マリウポリの包囲は戦争犯罪として歴史に残るだろう。平和な街にテロをしたことを、人々は何世紀も覚えているだろう」

ロシア国防省は、包囲したマリウポリに対し、日本時間21日午前11時までに降伏するよう、最後通牒を送りました。降伏すれば、避難ルートを開くとしましたが、ウクライナのベレシュチュク副首相は「降伏は選択肢にない」と現地メディアの取材に答えました。

女性や子どもが、ロシアに連れ去られていることに憤慨し、避難ルートの即時開放を求めました。21日の避難ルート『人道回廊』は8つのルートが設定され、降伏を拒否したマリウポリも含まれました。

侵攻から1カ月近くが経ちますが、ロシア軍の動きは停滞しています。イギリス国防情報参謀部の分析では、ロシア軍の大部分は、キエフ中心部から25キロの位置に留まり、一部の部隊は、ウクライナ側の抵抗で押し返されています。

抵抗しているのは、兵士だけではありません。南部ヘルソンでは、住民たちが、武器ではなく、ウクライナ国旗を手に声を上げ、ロシア軍の車両を引き返させました。しかし、ロシア軍は翌日、武器を持たない市民に発砲しました。

ウクライナの調査会社が行った、国民1000人のアンケートでは、93%が「ロシアの攻撃を退けることができる」と回答しました。

ウクライナ国営メディア『ウクルインフォルム』編集者、平野高志さん:「制空権をウクライナ側は結局とられなかったので、ロシア軍側は空からの援護がしにくい状況が続いている。ウクライナ側の士気は高いまま、ロシア側の士気は低いと予想できる。何のために進むんだろうという恐怖感も生まれている。降伏する兵士の数も増えて、実際にロシア側の将校が5~6人亡くなっている。急激に数日でキエフ陥落というのは考えにくいのでは」

事態の収束に向け、ゼレンスキー大統領は、プーチン大統領との直接対話を望んでいます。

ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「ロシア軍は我々を全滅させ、殺害するために来ているが、我々は尊厳を保ち、強烈な攻撃にも耐え、抵抗できることを見せつけている。しかし、残念ながら尊厳で命は守れない。そのため、どんな形であっても、プーチンと会談する機会を得るべきだ。そのチャンスが得られなければ、第3次世界大戦の開始を意味する」

停戦の可能性について、両国の仲介役として動いているトルコは、交渉が進展を見せているといいます。

トルコ、チャブシオール外相:「今週、ロシアとウクライナの両外相との会談を実現した。結果、いくつか具体的な項目で交渉が続いていると聞いている。両国の交渉担当とやり取りがあるため、状況を詳細に把握している。これまでのやり取りを通して言えることは、両国が基本的な点で合意に近付いているということだ」

しかしロシア側は・・・。

ロシア大統領府、ペスコフ報道官:「協議はウクライナ側の思うようには進んでいないようだ。ロシア側はウクライナ側より迅速で中身のある協議を望んでいる。今のところ、協議の本質的な前進は見られない。今、両首脳が会談しても、合意事項が確定していない状態だ」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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