ウクライナ・マリウポリ 市民3000人超死亡か 情報戦に神経とがらす

ロシア軍の無差別攻撃が激化しています。南東部のマリウポリでは市民3000人以上が死亡した可能性が指摘されています。一方、首都キエフでは市民がSNSに上げる情報に当局は神経をとがらせています。

ウクライナ側が公開した南東部マリウポリの映像。10秒足らずの間に9回の爆発が確認できます。ここは工業団地だったといいます。

「撃て!」

街では銃撃戦が行われていました。ウクライナ軍は戦闘の様子を公開。ロシア軍の車両を激しく攻撃し炎上させています。

「後退しよう!」

ロシアメディアも現地を取材。その時・・・

「立たないで伏せたままこっちにこい!」

激しい市街戦が繰り広げられる中、市民の犠牲者は増え続けています。国際的人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」はマリウポリで3000人を超える市民が死亡した可能性があるとしています。

ロシア軍が制圧したと発表した南部のヘルソン。市民がロシア軍に抗議活動をしていると、音と光で威嚇する閃光弾を投げつけ、さらに銃を発砲して市民を排除しました。別のカメラからは閃光弾が複数使われていることがわかります。

市内最大規模のショッピングモールが爆撃された首都キエフ。この攻撃で8人が死亡し、日本時間の22日午前3時からは外出禁止令が出ています。

住民
「もうウクライナのどこも安全ではない」

キエフ在住の日本人 高垣典哉さん
「新しくできたところなんですけど、こんな風にかなりの被害ですよね」

ショッピングモールから8キロほど離れたところに住む高垣さん。部屋からも大きな音が聞こえたといいます。

キエフ在住の日本人 高垣典哉さん
「周りのマンションもみんな新築なんです。新しく移ってきた人が大勢住んでいる所。恐ろしいですよね。あんなのがもし自分のマンションに飛び込んできたら、ミサイルが。一巻の終わりですよ」
 
一方、ロシア側は攻撃の正当性を強調しています。

ロシア国防省が公開した映像。ショッピングモールの上空からほぼ垂直にミサイルが着弾していることが分かります。攻撃の狙いについてロシア側は・・・

ロシア国防省の報道官
「諜報機関によると、ウクライナ軍の多連装ロケットシステムの基地やロケット弾の倉庫が発見された」

ショッピングモールがウクライナ軍の施設として利用されていたと主張したのです。

一方、ウクライナ側は軍の情報がSNS上などに投稿されることを警戒しています。

ウクライナ 大統領府 非常任顧問
「投稿されたビデオや写真が戦士・民間人・救急隊員の死を招くことになります」

ウクライナ政府高官は投稿をやめるよう訴えかけています。また、ショッピングモール付近の軍用車両の様子を投稿した男性を拘束し、“謝罪動画”を公開しています。

軍の情報を投稿し拘束された男性
「(Q.違反行為でありどんな結果をもたらしたか理解していますか)はい。自分の間違いを反省して被害に遭った皆さんに謝罪したいです。本当にすみません」

ロシア軍の侵攻からまもなく1か月。アメリカのバイデン大統領はこんな警戒感を示しました。

アメリカ バイデン大統領
「プーチンが生物・化学兵器の使用を検討している明確な兆候だ。彼は過去に化学兵器を使用したことがあり、注意しなければならない」

バイデン大統領はプーチン氏が「追い詰められている」としたうえで、生物・化学兵器の使用を検討している明確な兆候があると強調したのです。

南部の港湾都市オデッサで行われた葬儀。ウクライナ軍の兵士、クラベッツさんは38歳で戦死しました。妻・デニセンコさんは悲しみに暮れています。

オデッサの港で働いていたクラベッツさんはロシアが侵攻した翌日、軍に復帰。南部の兵舎にいたところ、18日にロシア軍の空爆を受けて亡くなりました。

クラベッツさんが亡くなる前日にはテレビ電話で話をしていました。

クラベッツさんの妻・デニセンコさん
「2018年7月5日が初めてキスをした日、2019年9月6日が愛を誓った結婚式の日、3年8か月と13日の幸せがあったけど私は一人になってしまった」

デニセンコさんは冷たくなった夫の体を何度も触っていました。

クラベッツさんの妻・デニセンコさん
「無防備に寝ているところを卑怯な手で殺されてしまった。臆病者で名誉のかけらも無い、あなたたちはクズ同然よ」

ウクライナ側はこれまでに兵士1300人以上が戦死したと発表しています。
(22日23:12)

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