「これまでにない規模」でも乗客・乗務員78人全員にけがなし 東北新幹線の地震対策と復旧のめど

16日夜遅く、宮城と福島で震度6強を観測した大地震。走行中の東北新幹線が福島駅と白石蔵王駅の間で脱線するも、乗客・乗務員全員にけがはありませんでした。

専門家は「過去の教訓が活かされ被害が免れたかもしれない」と指摘。大規模な脱線を防ぐシステムの開発のきっかけは2004年の新潟県中越地震でした。「高架橋が破損しているため復旧にはかなりの時間を要するとみられる」という声もあるなか、ほかにもコンクリートが砕け落ちて鉄骨がむき出しになっている場所が。復旧のめどなどについて解説します。

■新幹線脱線も乗客・乗員にけがなし

熊崎風斗キャスター:
東北新幹線にはかなり大きな被害が出ています。まず車両が、レールから脱線しています。それから架線を支える柱の部分が少し斜めに傾いてしまっている。そしてレールですが、少し曲がっている、歪んでいます。さらにもう一つ、高架橋です。崩れてしまっているものもありました。

今一度、場所を確認しますと、脱線したのは福島駅と白石蔵王駅の間。白石蔵王駅から約2キロのところです。仙台方向に向かって走っていたということです。午後9時44分東京発の仙台行きでした。17両編成のうち16両が脱線をしました。ただ、乗客75人、乗務員3人、全員けがはなかったということです。

乗客は一時車内に取り残されましたが、バスで仙台駅に移動したということです。その時の車内の様子について、乗客の方は「下から叩きつけられるような感じだった」「スーツケースが飛んでいったり、窓際にいた人が反対側に飛ばされた」と言っていますから、かなりの衝撃があったということがこの言葉からもわかります。

ホラン千秋キャスター:
家の大きな家具などが土台から浮くようにして、横に大きく揺れていた映像を拝見しましたので、新幹線のような大きなものでも脱線してしまってもおかしくはないというような揺れでしたよね。

萩谷麻衣子 弁護士:
しかも、多分最終列車ぐらいの時間だと思うんですけど、1日の疲れが出てぐったりしてる状態で、高架の上で真っ暗な中避難するというのは本当に不安だったと思いますが、けがをされた方がいなかったのが本当に幸いだなと思います。

■被害を最小限にくいとめた「逸脱防止ガイド」

熊崎キャスター:
脱線時の状況を見ていきます。まずJR東日本は「初期微動で地震を検知し、非常ブレーキをかける仕組みはおそらく正常に機能したとみられる」と発表しています。

そして、鉄道システムに詳しい工学院大学工学部の高木亮教授は、なぜ脱線したのかについて、「新幹線が地震の揺れに耐え切れず脱線したとみられる。(乗客の証言から考えると)ある程度の速度が出ていた可能性がある」と指摘しています。
そして高木さんは「過去の教訓が活かされ、車両の転倒などの被害を免れたのかもしれない」とも話しています。過去の教訓というのはどういうことか、といいますと、「逸脱防止ガイド」というものがレールについているんですが、平常時はレールの上に車輪がありまして、列車がそこを走っています。それが、脱線した場合当然、レールから車輪が外れるということになります。その時に逸脱防止ガイドが、レールに引っかかるようになっていまして、ストッパーの役割、食い止める役割をしてくれたということが非常に大きかった、ということなんです。ひょっとしたら逸脱防止ガイドがなかったらもっとずれてしまって、もっと大きな被害が出ていた可能性もあるということでした。

逸脱防止ガイドの開発のきっかけは2004年に起きた新潟県中越地震の際に上越新幹線が脱線したことでした。高木教授は「今回大きく逸脱しているとみられる車両もあるので、他にできる対策はないか今後さらなる検討が必要」とも話しています。教訓は生かされた部分、そしてこのあと対策が必要な部分、両方の指摘をされていました。

■復旧にはかなりの時間も

JR東日本は復旧について、「相当時間がかかる」としていて、航空各社に首都圏と東北各地の空港を結ぶ臨時便を要請したということです。2004年の中越地震の際は、上越新幹線が全線運転再開するまで67日、2か月以上を要したということです。高木教授も「高架橋が破損しているため、復旧にはかなりの時間を要するとみられる」と話しています。やはり時間はかなりかかるということでした。

ホランキャスター:
これだけ頑丈な物でも鉄骨がむき出しになってしまうような被害があったわけですから、その中でも誰もけが人がいなかったというのは本当に幸いですし、教訓というのを活かして次に繋げていただきたいですね。

萩谷弁護士:
東日本大震災の時の全面復旧というのは、確か49日だったと思うんですね。それは過去の阪神淡路大震災とか、新潟中越地震だとかの教訓を活かして耐震補強を重ねてきた結果、崩落もしなかったし、復旧期間も短くなったということを聞いたことがあります。過去の教訓を活かして、日本というのは技術を進めてきているんだというのは感じます。
ただ、今回東北自動車道も亀裂が入っているので、東北への物流、東北からの物流が滞らないかというのは心配ですよね。

ホランキャスター:
他にも皆さんの生活の面でも心配なことなどありますか。

萩谷弁護士:
まずはインフラ、水道や電気がしっかり復旧できているのかということや、また、数日以内、あるいは1週間以内に大きな地震が起きるんじゃないかと言われてますから、その備えをしっかりできるのかというのは心配です。また、東北の天気が大雨になるということなので、土砂崩れなどに気をつけてほしいと、心配なことはいっぱいありますね。

(17日18:05)

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