【解説】「計画通り進んでいない」プーチン氏側近の発言が波紋  中国に気になる動きも…

14日、ロシアとウクライナの4回目の停戦協議がオンライン形式で行われました。こうした中、プーチン大統領の側近の発言が波紋を呼んでいることや、中国も気になる動きを見せていることについて、専門家に聞きました。

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14日に行われたロシアとウクライナの4回目の停戦協議について、詳しい協議の内容は明らかになっていませんが、ウクライナの代表団の1人、ポドリャク大統領府顧問は「軍隊の即時撤退と安全保障については難しい議論。ロシアは暴力が正しい戦略であるとの妄想を抱いている」とSNSに投稿しています。

ウクライナ側によると、協議は一時中断され、15日に再開する予定だということです。

■「思うように進んでいるわけではない」プーチン大統領側近の発言が波紋…

こうした中、プーチン大統領の側近の発言が波紋を呼んでいます。

ロイター通信によると、ロシアの治安組織を率いるビクトル・ゾロトフ氏が14日、国家親衛隊のウェブサイトで「勝利は我々のものになる」と述べた一方で、「(軍事侵攻は)すべてが思うように進んでいるわけではない」と侵攻が計画通りに進んでいないことを認めました。

これまで、ロシアのプーチン大統領やラブロフ外相が「計画通りに進んでいる」との見解を示してきましたが、ゾロトフ氏の発言はそれとは異なることになります。

■中国、ロシアへの軍事支援「前向き」報道…「ウソの情報」と不快感

一方で、中国も気になる動きを見せています。

14日、イギリスのフィナンシャル・タイムズはアメリカ政府が同盟国に伝えた内容として、「ロシアが中国にミサイルなどの軍事支援を求めたことに対し、中国側も前向きな姿勢を示した」と報じています。

中国の動きを巡っては、アメリカのサリバン大統領補佐官が中国外交トップの楊潔チ政治局員と会談を行いました。

その中で、アメリカは、軍事支援も含めたロシアへの支援を行うことへの懸念を伝えています。

一方で、中国メディアによると、楊潔チ政治局員は「ウソの情報をまき散らし、中国の立場を歪曲(わいきょく)する発言には断固反対する」とロシアへの軍事支援に関する報道に不快感を示しているということです。

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■一時中断も…“実質的な議論”されている? 着地点は…

日本テレビ・藤井貴彦キャスター
「ウクライナ側によると一時中断となっている4回目の停戦協議。このあと再開される予定だということですが、なんらかの進展が見られるのでしょうか」

慶応義塾大学 鶴岡路人准教授
「これはですね。やはり、まだかなり厳しい状況なんだと思います。ただですね、この協議自体が2日目に入って続くということは、実質的な議論がなされているという証拠でもあるのかもしれません」

藤井
「“実質的な証拠”とはいえ、なかなか、進展が見えない中なんですが、お互いに譲れない平行線が続いているからこそ、このようにずっと続いてしまっている4回目の停戦交渉になっているんでしょうか」

鶴岡
「安全保障に関わる重要な問題ということで、『中立化』と『非武装化』という話をロシアはずっと要求してきているわけですね。ウクライナ側は、それら重要な問題に関して譲歩する用意はないということを強調しています」

「ですから、ウクライナ側が抵抗を続けられて、ロシアの要求に対しても、交渉の場でも抵抗を続けられるという以上はですね、『ロシアが要求を下ろしてくる』ということしか、まとまる地点はない、というのが現実なんだと思います」

■プーチン大統領側近の発言 “楽観的なことばかりだと…”保身か

藤井
「一方で、戦況について、プーチン大統領の側近が異なる発言をしているということなんです。治安組織を率いるゾロトフ氏は『(軍事侵攻は)すべてが思うように進んでいるわけではない』と言っているのに対して、プーチン大統領、ラブロフ外相は『計画通り進んでいる』というふうに発言を続けています。この発言の違いはどんなことが背景に考えられるでしょうか」

鶴岡
「ゾロトフさんの個別の発言の背景というのは、なかなかわからないところですけども、『勝利はわれわれのものになる』という部分はですね、政府のラインから全く外れていないんだと思います。情報機関に対しては、ここ数日ですね、この楽観的すぎる分析を大統領にあげていたということで、数人の人が更迭されたり、軟禁されたりというような状況になっているわけです」

「ですからこの方もですね、あまり楽観的なことばかり言っていると、また自分にも降りかかってくるというような考慮があったとしてもおかしくないんだと思います。ですから現実的なことをあえて言うことによって、この人にとってはですね、もしかしたら保身という側面もあったのかもしれません。」

■中国、ロシアへの軍事支援「前向き」報道 アメリカの“暴露戦術”?

藤井
「そして、中国ですが、ロシアへの支援の動きについて、中国の立場自身も難しくなっているような状況がありますが、中国側の現在の狙いはどこにあるんでしょうか」

鶴岡
「この報道、気をつけなければいけないのは、いつの話なのかということなんですね。ロシアが中国にいつ支援を要求して、中国はいつどのような返事をしたのか。この報道自体は、おそらくアメリカが情報を自らリークしたということだと思うんですね。14日、サリバン大統領補佐官と楊潔チ政治局員との会談が行われましたわけで、その前にですね、この話を出すことによって、『中国に圧力をかけよう』と、そういうことだったんだと思うんですね」

「そうすると、この話自体は、おそらくアメリカ政府は、きのうやおととい入手したものではなくてですね、かなり前から持っていたものを、ある意味、情報を暴露するような形で、中国の行動に影響を与えようとしたと。ロシアの侵略の前からですね、様々なロシアがやろうとしていることを、暴露することによって、ロシアの計画を妨害するという、暴露戦術をアメリカはずっとやってたわけですね。ですから、今回のこれもですね、おそらくそれにかなり近い話なのかなと思います」

■中ロ関係は中国優位に…対米・対日関係など悪化の“コスト”考慮か

鶴岡
「そう考えると、おそらく中国は、なんらかの軍事的なものを含めた支援というのは、以前から考えていたんだと思います。ただ、ここで新しい要素は、これだけロシアに対する包囲網が広がって、しかもロシアが、当初想定された以上に、非人道的な破壊を行っているということで、中国にとっては、なかなか軍事支援というのを行う環境が、どんどん厳しくなってきています。ですから、もし本当に軍事支援を行うとしたら、対米関係が極めて悪化すると思いますし、国際社会的にどのように説明できるのか。コストとリスクが中国にとっても非常に高まっているという状態」

藤井
「そうなりますと、中国はどんな立ち位置で振る舞っていくとお考えでしょうか」

鶴岡
「仲介への期待というのも、国際社会のなかで一部あるわけです。ただここで問題なのは、中国が本当にどこまで、この問題に関わる気があるのかということですね。それからロシアに対してどこまで厳しい要求をしたりですとか、そういうことをする用意があるのかと。それに関しては、まだ見えてこないというのが正直なところです」

「ただこの中国からロシアを見るとき、ひとつ確実にいえることは、今回の状況によって、中ロ関係というものが、かなり中国優位に進んでいくと。ロシアが中国に依存している割合というのが、かなり高くなってくるということです。これは、中国にとっては悪い話ではないということなんだと思うんですね。ただそれによって、対米関係、あるいはヨーロッパとの関係、さらには日本との関係なんかも悪化していくとなると、やはりコストとしてはかなり高いと。このあたりをどう、てんびんにかけるのかというところが、まさに中国にとっての課題ということなんだと思います」

藤井
「こういった戦争の後に、どのような世界になっていくのかを中国は見定めながら行動をとろうとしているところという状況かもしれません」
(2022年3月15日放送「news every. 」より)

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