声優: 銀河万丈
南斗六聖拳分裂の引き金となった「妖星」のユダの裏切りをそそのかした黒幕であり、その野望と実力で広大な領地を獲た。「聖帝」を名乗り、南斗108派の大半の流派を配下とし(『天の覇王 北斗の拳ラオウ外伝』)、抵抗できない子供たちを使役して、その野望と権力の集大成として巨大な十字型のピラミッド「聖帝十字陵」を築いていた。これはサウザーの師・オウガイ、そして彼自身の愛と情を弔う墓でもあることが後に分かる。
サウザーが伝承する南斗鳳凰拳は、手刀による斬撃と突きを主体とした拳法であるが、手技だけではなく足技も備えている(極星十字拳)。その絶大な強さゆえに拳法における「構え」を持たない(剣術でいう「無形の位」に近い)。サウザーいわく「構え」とは防御の型で下郎に使う必要がなく、帝王の拳である鳳凰拳にあるのは制圧前進のみ、その勢いは対峙したケンシロウがサウザーの踏みこみの速さに驚くほどのスピードである。ただしその存在を脅かす対等の敵が現れた時のみ、帝王の名誉と威信を賭けて「構え」を取る(南斗鳳凰拳奥義・天翔十字鳳)。彼自身の拳の技量と「南斗六聖拳」の「極星」であることにより「南斗最強」とされ、他の南斗聖拳では彼を倒すことは不可能とされている。
ケンシロウとの初対決では致命の秘孔「人中極」を突かれながらもその効果を受けず(サウザーの特異体質により秘孔に命中していなかったため)、驚愕するケンシロウを切り刻み圧勝する。ケンシロウを「聖帝十字陵」の人柱として獄に繋ぐが、ケンシロウはシュウの息子シバに救われ脱出する。
その後戦いを挑んだシュウを謀略を用いて戦わずして下し、「聖帝十字陵」の最後の石(聖碑)を積ませ、最後はその頂点に立った状態の彼を自ら投げた槍で貫いて殺害し、目の前で彼の壮絶な最期を見届けたケンシロウの底知れぬ怒りを誘う。
シュウをケンシロウの目の前で葬り去った後、人質にされていた子供の一人に片足を刺された際、その子供を手にかけずに“愛の無意味さ”を説きながら諭す。冷酷無比な性格で恐れられていたサウザーとしては意外な行動から、彼の悲劇的な過去が明らかになる。
サウザーは元々孤児であり、南斗鳳凰拳先代伝承者・オウガイに拾われ、鳳凰拳を伝承すべく厳しい修行の日々を送っていた。オウガイは厳しい人物であったが、決してサウザーに対する愛を忘れず、鳳凰拳の技を彼に授けてゆくと共に実の親のように優しく接し、幼少期のサウザーは彼を「お師さん」(アニメでは「先生」)と呼び慕っていた。そしてサウザーが15歳になった時、目隠しをして襲い掛かる敵を倒せと命じられ、彼はその命に従って敵を切り裂いた。
しかしその敵とは彼の師・オウガイ自身であり、「新たな伝承者に倒されるのも一子相伝の宿命」、「お前の瞳の中に極星の“南斗十字星”[4]を見ていた」と言い残し絶命した。
厳しくも優しい師であり、深い愛を受けた父とも慕う者を手にかけたことへの苦しみと悲しみに耐え切れなかったサウザーは、「こんなに悲しいのなら、苦しいのなら、愛などいらぬ!」と慟哭し、愛がもたらした非情かつ残酷な現実に打ちのめされた反動から、冷酷非情な人物に変貌する。
己の権力の象徴と見られていた「聖帝十字陵」に師・オウガイの亡骸を安置し、ラオウとトキも見守る中、自らの体の秘密を見抜いたケンシロウに対し、虚飾を捨て「構え」をとる。その体勢から放つ奥義「天翔十字鳳」はケンシロウの拳では捕らえきれず戦いを優勢に進める。しかし、ケンシロウにとどめの一撃を加えようとしたとき、闘気で秘孔を突く北斗神拳の奥義「天破活殺」を受け遂に秘孔の位置を暴露されたばかりか、両足の自由も奪われ形勢逆転を許す。自らの体を覆う神秘の鎧を剥され、翼ももがれたサウザーだったが帝王としての意地を見せ、「退かぬ!媚びぬ 省みぬ!」と自らを鼓舞して立ち上がり、逆立ちの体勢から跳躍し最後の特攻を行うも、ケンシロウが放った「北斗有情猛翔破」で苦痛なき致命傷を負う。
死の間際、ケンシロウの言葉から、愛が生んだのは「苦しみ」や「哀しみ」だけでなく、「ぬくもり」でもあったことを思い出したサウザーの顔からは険しさがなくなり、「もう一度ぬくもりを…」と涙を流しながらオウガイの亡骸に寄り添い、崩壊する十字陵と運命を共にした。ケンシロウはそれを、「哀しい男よ。だれよりも愛深きゆえに」という言葉で見送った。
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