無誘導爆弾

無誘導爆弾, by Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki?curid=535949 / CC BY SA 3.0

#航空機搭載爆弾
#レトロニム
無誘導爆弾

無誘導爆弾(むゆうどうばくだん、Gravity bomb)または自由落下爆弾(じゆうらっかばくだん)は、航空機搭載爆弾の一種。単に航空機から投下する爆弾を示す。最も古くからあるタイプの航空機搭載爆弾。

無誘導爆弾は、航空機から無線などによる操縦・誘導をともなわず、自由落下によって目標物へと投下される兵器である。爆弾本体の構造は、弾殻・信管・炸薬と安定翼で構成される。各国が用いた初期の航空爆弾や大戦中の爆弾には、衝撃による弾体の変形や破壊による不発を少なくするため、信管が複数取り付けられることが多かった。

無誘導爆弾は、航空機の爆弾倉または機体下面や主翼下面に設けられた懸架装置に取り付けられる。航空機は無誘導爆弾を懸架して飛行し、目標の上空へ達すると照準器によって目標を確認し、投弾(切り離し)する。第二次世界大戦の中盤に無線、赤外線で誘導される誘導爆弾が開発されるまでは、航空機搭載爆弾には無誘導爆弾しかなかった。

ベトナム戦争時、F-4戦闘爆撃機の火器管制システムと組み合わされた場合、500ポンド無誘導爆弾は平均誤差半径122m(400ft)の精度を発揮することができた。

無誘導爆弾の投下にあたっては、目標と運搬する航空機の位置関係、投下時の航空機の速度、目標の速度、投下後の爆弾に働く重力や空気抵抗、風向きなどを計算に入れる必要があるが、全ての変数を得られるわけではない。第一次世界大戦においては、投下の見越し角度は全て目測によるものであった。こうした原始的な水平爆撃の命中率は低く、より精度の高い急降下爆撃が開発された。第二次世界大戦では水平爆撃の他、急降下爆撃も行われ、大戦中に照準器の機械化が進められた。現在ではコンピュータにより投下タイミングが自動計算される。

第二次大戦中に、アメリカ陸軍中将ジョージ・C・ケニーは反跳爆撃を開発し、日本軍の艦艇を攻撃した。これは、機銃を増設した航空機が、艦艇に射撃を加えて対空防御を制圧しつつ、海面すれすれの低空で、5秒遅延信管付きの爆弾を投下すると、石切りと同じ原理で爆弾が海面を跳ねながら突進していくというものである。爆弾が艦艇に命中した場合、舷側または舷側水線下で爆発した。反跳爆撃は、本来点的な攻撃である爆撃が線的な攻撃になった点で雷撃に近いが、雷撃よりも高速で突入し爆弾を投下できた。魚雷は、入射角と衝撃を計算に入れて投下せねばならず、また、あまり高速で投下すると弾体が破壊される欠点があった。

日本陸海軍も反跳爆撃の実験を行い成功したが、大戦末期の艦艇攻撃の主戦術は特攻へと傾斜した。日本陸軍の反跳爆撃は、昭和18年3月から研究を開始し、昭和19年4月には爆弾の整備にまで至った。爆撃は、速度500km/hで進入し、距離200mまで接近、高度20-10mで投弾し、離脱するものであった。信管は15秒延期されており、昭和19年12月8日にはフィリピン(おそらくレイテ島オルモック湾)で、一〇〇式重爆7機が輸送艦に対し攻撃を実施、1発が命中した。弾種は、強化改良された250kg跳飛爆弾である。

日本海軍の反跳爆撃は、艦艇の側面装甲の貫通を狙うことにこだわり、戦術化が遅れた。これは、爆撃法が反跳を必要とすることから爆弾がブレて飛翔し、貫通には不適であったことが原因の一つであった。また、信管の開発に時間をとられたこと、弾体強度、弾道直進性、威力などから、大型艦艇への大規模な反跳爆撃の実施に至らず、特攻を主戦術とした。

さらには、自機の速度・高度を大いに利用したという投下法もある。これは、低高度からループを描いて急上昇を行いながら爆弾を切り離すことで、より遠方に爆弾を放り投げることができる方法である。目標と自機の距離をとることができるが命中精度が低下するため、主に自機と爆弾の距離を稼ぐ必要のある核爆弾を低高度から投下する際の投下法として使用された。

誘導装置を必要としない爆弾は単価が安く、大量生産に適する。無誘導方式の爆弾は、誘導爆弾やミサイルが開発された後も、航空機における主力地上攻撃武装として使用されている。また、初期の核爆弾は、航空機から投下するのみの無誘導爆弾であった。湾岸戦争においても、投下量自体は誘導兵器よりも無誘導爆弾の方が多い。1990年代のユーゴ紛争より、急激に誘導爆弾使用割合が増加し、無誘導爆弾の使用が減少した。

第二次世界大戦当時の日本陸海軍の用いた無誘導爆弾、また、現代の軍が使用するものの中には、空気抵抗板やパラシュート・バリュートが取り付けられた減速爆弾が存在する…

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