露のスパイ30年 元CIA諜報員が語るプーチン氏(2022年3月6日)

一体、プーチン大統領の真意はどこにあるのでしょうか?番組はアメリカ・CIAの元諜報員で長年、ロシアでのスパイ活動をしてきた人物に話を聞きました。

▽元CIAスパイが語るプーチン氏の“真意”
「もしかしたら、彼(プーチン大統領)は、今よりもっと残虐な殺戮を行うかもしれません」
こう話すのは、ロシアでスパイ活動を続けてきた、元CIAの諜報員ジョン・サイファー氏(61)。
30年にわたりロシアの諜報活動を続け、プーチン大統領の外交情報や軍事作戦など、様々な機密情報を探ってきた人物です。
(元CIA 諜報員ジョン・サイファー氏)
「この(ウクライナ侵攻の)現状を理解するには、プーチン大統領をひもとく必要があります。彼は旧ソ連のKGBでキャリアを積んで、何十年もの間、政権転覆や、破壊工作、暗殺、偽情報の拡散などをしながら世界中で暗躍しました。彼は相手の弱みを見つけると、そこにつけ込む。弱みを見せると、そこをどんどん攻めていくんです。KGB出身の彼の行動には一貫性があり、相手をいたぶり、マフィアのような振る舞いをする。脅して敵を従わせようとするのです。」

旧ソ連時代、秘密警察・KGBのスパイとして活動していたプーチン大統領。今回の侵攻についてもKGBで培った思想や、経験から判断したと分析しています。
(元CIA 諜報員ジョン・サイファー氏)
「プーチン大統領は2008年から、西側と政治的に対立していてジョージア、ウクライナなどに軍を派遣するだけでなく、ヨーロッパ中で暗殺を行ってきた。西側のルールを打ち破ってきたのに、西側は抵抗すべきときに、対処してこなかったのです。2022年までに、プーチンは『西側は弱いので他国を侵略しても逃げ切ることができる』というパターンを掴んでしまったのです」

アメリカはこうしたプーチン大統領の思惑を、正確に把握していました。
(アメリカ バイデン大統領)
「ロシア軍が来週、ウクライナを攻撃するという十分な証拠を持っています。」
いま、圧倒的な戦力差があるにも関わらずウクライナ軍が善戦を続けている背景には、アメリカによる機密情報の提供も関係しているとサイファー氏は話します。
(元CIA 諜報員ジョン・サイファー氏)
「我々はウクライナと連携しています。情報を共有し、何年も彼らと諜報活動を共にしてきました。人々を守るためアメリカはゼレンスキー政権に情報を渡しています。」

侵攻から11日目。首都キエフの周辺などでは、ここ数日、住宅地への攻撃が激化しています。サイファー氏は今後、さらに残虐な攻撃をしかけてくる可能性があると指摘します。
(元CIA 諜報員ジョン・サイファー氏)
「プーチンの目論見は、ウクライナ人を降伏させ、親ロシア政権を樹立することでした。しかしウクライナ軍の予想外の抵抗に、彼の目的は、変わっています。私がいま恐れているのは、苦戦続きのロシア軍が、昔の残虐な手口に戻ることです。1990年代のチェチェンや、シリアのように大砲や戦車で都市全体を破壊する、殺せるかぎりの人を殺す。より大規模な戦争にエスカレートする可能性もあるのです。」

▽ウクライナ軍“善戦”背景に米機密情報
ロシア軍がウクライナに侵攻した先月24日、プーチン大統領は“核の使用”に言及しています。
(プーチン大統領)
「現代のロシアは、ソ連崩壊後も世界の強大な核保有国のひとつだ。ロシアに直接攻撃をすれば壊滅的な結果を招くことは疑いの余地がない」
さらに侵攻4日目には・・・
(プーチン大統領)
「NATO主要国の指導者らはロシアに攻撃的な発言をしている。ロシア軍の抑止力部隊を特別戦闘準備態勢に移す」
実際に核が使用されるリスクはあるのでしょうか?
プーチン大統領はウクライナへの侵攻直前、核兵器を搭載可能なミサイルの発射演習を指揮しています。
弾道ミサイル「イスカンデル」、巡航ミサイル「カリブル」
(防衛ジャーナリスト 半田滋さん)
「戦術核を積めるミサイルを撃ったがそれらの落下地点がクリミア半島なんです。これはウクライナを見立ててクリミアに落としたと、ちょっと方角を変えればね、いつでもウクライナの方に打てるよというメッセージを出していると」
トランプ政権で大統領補佐官を務めたボルトン氏は、「ロシア軍は、戦術核兵器の先制使用を明確に想定」しているため、戦況が悪化したら、プーチン大統領が「核を使用するという過激な手段」に出るかもしれないと警告しています。

▽核使用の可能性は?元CIAスパイ分析
こうした見方に対し、元CIAの諜報員サイファー氏は
Q. プーチンは実際に核兵器を使うと思う?
(元CIA 諜報員ジョン・サイファー氏)
「NO!彼は、第三次世界大戦のような、はるかに大規模な戦争では勝てないことを理解しています。彼の最終目標は、あらゆる独裁者と同じです。権力の座にとどまること。彼は権力を失うことを恐れています。独裁者は毎朝、暗殺を心配しながら目を覚まします。彼は、(リビアの独裁者)カダフィー大佐のように、撮影されながら下水溝の中で殺害されることを恐れている。いまプーチンはとても感情的になり、正気を失ったのではないか、彼は変わったのではないかという声が多く上がっています。しかし彼は、過去20年の行動と何も変わっていないのです。」
“相手を脅して敵をしたがわせる”サイファー氏は、プーチン大統領のいまの心境をこう読み解きます。
(元CIA 諜報員ジョン・サイファー氏)
「俺の軍はそれほどうまくいってないかもしれない、経済もうまくいってないかもしれない、だが弱く見えても俺を試すな。俺の弱さにつけこむな。俺には核兵器があるんだから」と。

3月6日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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