新型コロナのワクチン3回目接種が本格化するなか、ファイザー社とモデルナ社では副反応や抗体の量に違いがあると報告されています。接種を終えた人に話を聞くと“あまり聞かれない副反応”が出た人も。SNS上で広がる「感染しても接種が必要なのか」という疑問とあわせて、専門家とともに見ていきます。
■ファイザー製とモデルナ製、SNS上でみる副反応の違いは
良原安美アナウンサー:
新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種について、モデルナ製とファイザー製との間で、副反応や抗体量に違いが出ることが分かりました。
厚生労働省のデータによると、2回目までファイザー製のワクチンを接種した場合、3回目もファイザー製を接種すると、抗体価が1か月後に54.1倍となりました。一方、2回目までファイザー製のワクチンを接種し、3回目はモデルナ製ワクチンを接種すると、1か月後の抗体価は67.9倍となりました。
2回目までファイザー製を接種していた場合、3回目の接種はファイザー製よりもモデルナ製のほうが抗体価の上昇率が高くなっていることがわかります。
副反応についての違いをみてみると、発熱・接種部の痛み・けん怠感・頭痛のいずれの項目もモデルナ製の方が高い割合で出ています。特に発熱に関しては、ファイザー製が39.8%に対して、モデルナ製では68.0%となっています。
SNSで投稿されている声から3回目接種後の副反応の事例を見てみましょう。
1つ目の例です。2回目までファイザー製ワクチンを接種(副反応は微熱のみ)し、3回目はモデルナ製の交互接種をした方は「モデルナアーム(接種した腕に腫れや痒みを伴うこと)」になったと言います。しかし、3回目まですべてファイザー製を接種した方にも同じような反応が見受けられ「腕が赤く腫れている”ファイザーアーム”ってやつ?」との声がSNSに上がっています。
2つ目の例です。夫婦ともに2回目までファイザー製ワクチンを接種し、3回目の接種は夫がファイザー製を、妻はモデルナ製ワクチンの交互接種を行いました。ファイザー製を接種した夫は、高熱・悪寒・腕の痛みなどの副反応が8日間続きましたが、モデルナ製を交互接種した妻の副反応はなかったと言います。
冒頭に「厚生労働省のデータによると、モデルナ製ワクチンの方が副反応は出やすい」と説明しましたが、この夫婦の例ではファイザー製を接種した夫の方に強い副反応が出ており、モデルナ製を交互接種した妻は副反応が軽く、逆の結果となりました。この経験について夫は「副反応は人によって違うことがわかった」とSNS上に投稿しています。
3つ目は30代女性の例です。2回目までファイザー製ワクチンを接種し、副反応も特になし。3回目もファイザー製を接種したところ、発熱・頭痛・けん怠感といった副反応に加えて、目の痛み・肌荒れという副反応が出たと言います。具体的には「目が痛んで光を異様に拾った。いつもと同じスキンケアをしたが皮がむけるなど肌荒れが…」と、あまり聞かれない副反応が出たとする声もあります。
もう1例はSNSでなく「Nスタ」スタッフ50代男性の例です。2回目までモデルナ製ワクチンを接種、接種部に軽い痛みは感じたものの「副反応は軽かった」と言います。しかし、3回目のファイザー製ワクチンを接種後、翌朝に微熱・軽い頭痛を感じました。さらに脇の下から耳の後ろにかけての痛みを感じ「にぶい痛みからうずくような痛みに変わり、症状が一日中続いた」そうです。同様の副反応について、SNS上では、3回目にモデルナ製のワクチンを接種した方にも多数見られたようです。
井上貴博キャスター:
副反応に関して番組で取り上げられる声は、ごく一部でしかなく副反応の出方は千差万別です。因果関係は明らかでないものの、一定数の方が接種後に亡くなられている状況のなかで、ワクチンの情報についてはどう受け取っていますか?
田中ウルヴェ京メンタルトレーニング指導士:
(ワクチンに関する)基礎知識は大事だと思いますが、(判断は)難しいですよね。人によって副反応が違い、人によってはワクチン接種をベネフィットと感じていて、人によって理解も違う。だからこそ、自分で判断することが必要であり、自分で責任を取らなくてはいけないということだと思います。
井上キャスター:
国際医療福祉大学感染症学講座主任教授・松本哲哉さんにお話を伺います。ファイザー製とモデルナ製の3回目接種における副反応を比較すると、モデルナ製ワクチンの方が効き目が強く、それに準じて副反応も強いと見受けられます。ワクチンの効き目・副反応はこれまで同様と考えてよいのでしょうか?
国際医療福祉大学感染症学講座主任教授 松本哲哉氏:
ファイザー製よりもモデルナ製ワクチンの方が、1回当たりの接種に含まれる成分の量が多いため、半分の量にしてもまだモデルナ製の方が成分量が多いです。それゆえ、モデルナ製のほうが体内に入ってくるワクチンの量が多く、副反応も強くなる可能性が考えられます。
■感染後のワクチン接種の必要性
良原アナ:
今年に入ってからの感染拡大を受けて、全国の感染者数は1月から2月20日にかけて約276万人にも上ります。3回目のワクチン接種について、SNS上ではこのような声も聞かれています。
「オミクロンに感染。抗体できたしワクチン打たない」
一方、感染したが3回目のワクチン接種を受けたいという方のなかには、「感染から回復してすぐにワクチン接種して大丈夫?」との不安な声も聞かれました。これに対して厚生労働省は「感染後から追加接種までの間隔は、暫定的に3か月をひとつの目安とする(ただし希望すれば3か月以内でも接種可能)」と回答しています。
井上キャスター:
インターネット上にもテレビの中にも情報が氾濫し、視聴者は自分の判断で、様々な情報を精査していかなければならないのではと思います。
ホラン千秋キャスター:
ひとつ情報が出ると、その内容を否定するような情報が出てくる。どれが正しいのか判断に迷う方が多いと思います。「すでに感染したから3回目は接種しなくていい」という方もいますが、感染後の3回目ワクチン接種の必要性について、抗体が出来ているから必要ないのかという点を含めて教えていただけますか?
松本哲哉氏:
最近よくこの質問を受けます。ワクチン接種のスケジュールと照らし合わせて、感染から回復した後は早めに受けてもいいのでしょうかということですね。
接種自体は問題ありませんが、感染から回復後すぐに接種してしまうと副反応が強く、抗体価は上がりますが、強い副反応を考慮すると一定期間、最低でも1か月程度の接種間隔をおくべきではないかと考えます。
すでに感染したのでワクチンを接種しなくても良いのかという点についてです。確かに感染後、短期間であれば抗体価が上がりますが、感染により誘導される抗体価というのは比較的早く下がってしまう面もあるので、回復後に一定期間をおいてから、ワクチン接種するのが望ましいと考えます。
井上キャスター:
感染で得られる抗体とワクチン接種で得られる抗体とでは違うという点は大変重要ではないでしょうか。
松本氏:
感染により得られた抗体でもある程度の予防は出来ますが、ウイルスの種類によって異なります。オミクロン株には対抗できたが、他のウイルス株には対抗できないかもしれない。やはりそういった意味でもワクチンは接種しておくべきかと思います。
(21日17:43)
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