1968年(昭和43年)に東京・府中市で、現金輸送車ごと3億円が奪われた事件から50年の節目を迎えました。当時、現場の近くで働いていた男性は50年前の様子を今でも鮮明に覚えています。
府中市の「3億円事件」は“戦後日本最大のミステリー”と呼ばれています。1968年12月10日、府中刑務所の前の道路で、偽の白バイに乗った警察官姿の男が、銀行の現金輸送車に乗っていた行員に対して「爆弾が仕掛けられている」と伝え、行員4人を退避させた後、運転席に乗り込んでそのまま逃走しました。警視庁は府中警察署に捜査本部を置き、延べ17万人以上の捜査員を投入して捜査に当たりましたが、犯人を特定することができず、事件は1975年12月10日に時効を迎えました。
当時、事件現場のすぐ近くでガソリンスタンドを経営していた松村昭彦さんは、犯人にだまされて車から退避した行員の様子を覚えています。行員らは、車が奪われたことに気付くと、松村さんの店に駆け込んできたといいます。松村さんは現場付近を指差し、「ここに塀と垣根があって、現金輸送車がいつ爆発するかおびえながら隠れて見ていたようだ。いつまでたっても何も起きないので見ると、車がなくなっていて、白バイだけ置いてあったと聞いた」と、事件当日の状況を説明しました。松村さんは「今はマンションになっている場所でガソリンスタンドをやっていた。そこに、襲われた銀行員の人が『襲われた』と、銀行に電話をかけた」と振り返ります。
事件から1年ほどは、松村さんの店に警察官が聞き込みに来たり報道陣が押し寄せたりして、毎日が大騒ぎだったといいます。
あれから50年──。松村さんは犯人の現在の姿に思いを寄せることがあるといいます。松村さんは「いま、犯人は何をしているんだろうと思う。とにかく大騒ぎでしたから」と語り、今でも犯人が捕まり、真実が明らかになることを望んでいます。
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