2つの公的年金を、同時に受け取れる場合と受け取れない場合

人によっては、2つの公的年金の受給権が同時に発生するという場合があります。

例えば、遺族年金を受給中に自分自身の年金の受給権が発生するといったケースです。

そのような場合に、両方同時に受け取れるのか?受け取れないのか?と言うのが今回の話です。

本題に入る前に、公的年金の種類について、簡単に整理しておきたいと思います。

そもそも公的年金の種類を大きく分けると、老齢年金、遺族年金、障害年金の3つに分けることができます。

老齢年金というのは、自分自身のための年金ということになりますし、遺族年金というのは、亡くなった人の遺族が受け取れる年金ということになりますし、また障害年金というのは、ご自身が障害の状態になった時に受け取れる年金ということになります。

この3つの年金は、さらにそれぞれ2種類あります。

つまり、老齢年金であれば老齢基礎年金と老齢厚生年金に分けることができますし、遺族年金であれば遺族基礎年金と遺族厚生年金に分けることができますし、障害年金であれば障害基礎年金と障害厚生年金に分けることができます。

それぞれ、基礎年金と厚生年金があるということですね。

例えば老齢年金を受給中に、ご家族の誰かが亡くなって遺族年金の受給権が発生するということがあります。

もしくは逆に遺族年金を受給中に、自分自身の老齢年金の受給権が発生するということもあります。

また、もしくは障害年金を受給中に、遺族年金の受給権が発生することだってあるんですね。

そんな時に、2つの年金を同時に受け取れる場合と受け取れない場合があります。

これを年金の併給調整というのですが、その仕組みはかなり複雑です。

と言いますのも、組合せのパターンがたくさんあるからです。

また、繰上げ受給をする場合とか、しない場合もありますから、話はさらにややっこしくなります。

なので今回は、すべてのパターンを紹介するのではなくて、まず最初に基本的な組み合わせの原則を紹介して、その後に応用編として代表的な組合せの具体例をいくつか紹介して、最後に組合せのパターンを表にしたものを解説したいと思います。

1番目 基本的な組合せの原則

年金には、1人1年金という原則があります。

これはどういうことかと言いますと、2つ以上の年金が受けられるようになった場合には、いずれか1つの年金を選択するということになります。

ですが次に組合せについては、1つの年金と見なされることになっていて、2つの年金を同時に受け取れるという事になっています。

それは、老齢基礎年金と老齢厚生年金の組合せ、もしくは遺族基礎年金と遺族厚生年金の組合せ、もしくは障害基礎年金と障害厚生年金の組合せになります。

それぞれ、老齢年金、遺族年金、障害年金と同じグループの年金で、またそれぞれ基礎年金と厚生年金の組合せということになります。これは、何となく分かりますよね。

では次に、この基礎年金どうしの組合せの場合は、どうでしょうか?

例えば老齢基礎年金と遺族基礎年金とか、もしくは老齢基礎年金と障害基礎年金とか、もしくは障害基礎年金と遺族基礎年金の組合せですね。

このような場合は、どちらか1つの年金を本人が選択するということになっています。

では今度は、厚生年金どうしの組合せの場合はどうでしょうか?

厚生年金の組合せの場合は、基礎年金とまったく同じで、やはりどちらか1つの年金を本人が選択するということになります。

ここまでが、基本的な組合せの原則の説明になります。

2番目 代表的な組合せの具体例

ここからが応用編になります。

応用編では、代表的な具体例をあげて説明したいと思います。

例えば、会社員をしていたご主人が亡くなって、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた人がいたとします。

その人が65歳になって、自分自身の老齢基礎年金の受給権が発生したと言う場合、どうなるのか見ていきたいと思います。

このケースの場合は、今まで通り遺族基礎年金と遺族厚生年金の組合せで受け取るか?もしくは、遺族厚生年金はそのままで基礎年金を老齢基礎年金にした組合せで受け取るか?この2つの組合せのどちらか一方をえらばなけらばいけないということになります。

因みに、遺族年金の方はどちらも非課税になりますので、普通は、前者を選択する人がほとんです。

では、次のケースを見てみましょう。

今度は、会社員をしていたご主人が亡くなって、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた人がいたとします。ここまでは、先ほどと同じですね。

その人は、繰上げ受給を選択して、60歳から老齢基礎年金を受け取った場合どうなるのか見ていきたいと思います。

このケースの場合は、遺族厚生年金は60歳から支給停止になります。

これは、繰上げ受給を選択した場合のルールだからです。

ただ65歳になれば、支給停止は解除されるので、遺族厚生年金と老齢基礎年金を同時に受給できるということになります。

では、次のケースを見てみましょう。

繰上げ受給を選択して、60歳から老齢基礎年金を受け取っていた人がいたとします。

ところが、63歳の時にご主人が亡くなってしまって遺族厚生年金の受給権が発生したというケースです。

この場合どうなるのか見ていきたいと思います。

このケースの場合は、遺族厚生年金を受け取ると、繰上げ受給をした老齢基礎年金は支給停止になります。

これも、繰上げ受給を選択した場合のルールになります。

このようなことがあるので、繰上げ受給は要注意なんですね。

ただ65歳になれば、支給停止は解除されるので、遺族厚生年金と繰上げ受給した老齢基礎年金を同時に受給できるということになります。

3番目 組み合わせパターン表

基礎年金と厚生年金の組合せを表した場合、「併給できる」組合せと、「どちらか一方を選択する」という組み合わせと、「65歳以上は併給できる」という組み合わせに分けることができます。

この表についての説明は、文章で説明するのは難しいです。

動画で詳しく解説していますので、是非動画を参照していただければと思います。

なお、「65歳以上は併給できる」という組み合わせについては、65歳以上であれば併給できるけど、65歳未満の場合はどちらか一方を選択するという意味になります。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

#2つの年金 #同時 #受取

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