2020年に報告された世界血友病連盟(WFH)ガイドラインでは、血友病の臨床診断や遺伝子検査に新たな提言をしています。血友病の重症度は血中の凝固因子活性に分類されています。血中の凝固因子活性は診断だけでなく、治療効果の判定にも重要です。日本では、血液が凝固するまでの時間を測定する方法(APTT試薬)で測定することが多いですが、試薬により測定値が異なることや、使用する凝固因子製剤によって正しい値がでないことがあるので注意が必要です。最近では、安定した検査値が得られる合成基質法が使用できるようになっています。新しいWFHガイドラインでは、血友病診断においては両者の測定が推奨されています。新しい抗体製剤であるエミシズマブ投与中だと、APTTによる凝固因子活性測定はできないことは注意が必要です。遺伝子検査ですべての遺伝子異常が同定できるわけではありませんが、遺伝子検査は、血友病の確定診断や女性保因者の同定に有用です。最近では血友病保因者でも凝固因子活性が40%未満の場合は女性血友病として捉えるようになってきています。新しいWFHガイドラインでは、保因者の可能性がある方は、自身の健康のために凝固因子活性の測定、保因者になるリスクについての遺伝カウンセリング、保因者かどうか疑わしい場合の遺伝子検査の提供について推奨されています。
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