重すぎて「ランドセル症候群」 教科書満載で体重の4分の1近くに 医師「低学年は気を付けた方がよい」 (21/11/12 14:10)

小学生の必需品でもあるランドセル。最近は軽くて、大きなサイズのファイルや教科書を入れられるタイプも増えていますが、子どもの体に合わない重さによる「ランドセル症候群」と言葉が言われるようになりました。

 小学生がある物を毎日使うことで体に異変をきたす…今こんなことが言われています。それは「ランドセル症候群」。

 「ランドセル症候群」とは、重いランドセルを長時間背負ったまま通学することで、体の不調を訴えるというものです。

 小学1年生から3年生、1200人を対象としたアンケートで、通学時のランドセルを重いと感じていたのは「常に重い」「頻繁に重い」「たまに重い」を合わせると、9割もいました。

 名古屋の街で保護者の方に話を聞くと…

「中はギュウギュウですね。なんでもかんでもランドセルに入れるので」(6年生の母)
「ランドセルが重くて(子どもが)玄関席で下ろして肩を回している」(5年生の母)
「習字の用具とか、絵の具とか使う授業が重なると『かわいそう』って。小さければ小さいほど思います」(6年生の母)

ノートや教科書が15冊、水筒など入るランドセルの総重量は5kg以上

 文部科学省は通学時の荷物を少しでも減らそうと、教科書などを学校に置いて帰る「置き勉」を2018年から推奨しているのですが、実際は宿題で教材を持ち帰らないといけないため、ランドセルが軽くならないのが現状です。

 名古屋市内の小学校に通う番組スタッフの2年生の娘さんのランドセル。学校に行く前に中身を見せてもらいました。

 出て来たのは「水筒・ペンケースが2つ」に「ノート・教科書の束」…教科書とノートは15冊ありました。水筒、ペンケースを合わせると全部で18点。その重さはランドセルも含めると5.2kg。娘さんの体重の約4分の1にあたる重さだといいます。

Q.いつが重いとかはある?
「曜日によって重さは違う。木曜日が重い」(スタッフの娘さん・小学2年生)

筋肉が十分にできていない低学年では猫背や、背骨が曲がる恐れも

 重いランドセルは子どもの体にどんな影響を与えるのでしょうか?

 小児医療の専門医、名古屋市立大学医学部附属西部医療センターの名誉院長で、みたき総合病院副院長の鈴木悟医師に聞きました。

Q.重いランドセルを背負い続けることで、体にどのようなダメージが?

「まだ筋肉が十分できていない。きゃしゃな体つきの子が重いランドセルを背負うと、後ろに重みで引っ張られるので、バランスをとるために頭を前に倒すと猫背になるということが第一に考えられます」

「側弯(そくわん)といって背骨が横に曲がってしまって、『肩こり・背中が痛い・腰が痛い』が慢性的に起こるのではと言われています。特に低学年に関しては、気をつけた方がいいと思います」(鈴木悟医師)

 さらにひどい場合は、頭痛の症状まで出てくるといいます。

米小児学会「体重の10%を超えない方がよい」が…日本では

Q.ランドセルの背負い方を工夫すると変わってくることはある?

肩ベルトの長さを調整する。肩ベルトがゆるんでしまうとランドセルは重みで傾いてしまう。肩ベルトを適切な長さにして、ぴたっと背中にくっつくのを確認すると良いですね」(鈴木悟医師)

 低学年の子たちがランドセルを背負うには、適正の重さがあるといいます。

「アメリカの小児科学会は『体重の10%を超えない方がよい』と言われています。小学1~2年生の子たちは、だいたい20~25kgなので、その10%は2.5kgになります。だから3kgのランドセルを背負うのは、負荷がかかりすぎている可能性がありますね」(鈴木悟医師)

 しかしアンケートの結果では、約7割の子どもが3kg以上のランドセルを背負っていました。

背負った日のアフターケアに2種類のストレッチ

 そこで大切になってくるのは「アフターケア」。ランドセル症候群対策のストレッチを教えてもらいました。

「手を肩に乗せてもらって、ひじを上腕が水平になるまで上げてもらって肩を回す」(鈴木悟医師)

 手を肩に乗せて回します。前・後それぞれ5回ずつ3セット繰り返します。続いて…

「頭の上に手のひらを合わせて、グッ~と上に伸ばす。この状態から今度はゆっくりと横に傾ける」(鈴木悟医師)

 頭の上で手を合わせ、息を吐きながら10秒かけて、脇を伸ばすように体を横に倒します。こちらも左右3セット繰り返します。

 子どもが重いランドセルを背負った日は、この2種類のストレッチをすると効果的だといいます。

(11月12日放送 メ~テレ『ドデスカ!』 竹田のイマネタ!コーナーより)

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