政府は、新型コロナの感染拡大で影響を受けた人への支援策を検討しています。ひとつは、18歳以下の子どもや若者に一律現金10万円を給付するというもの。もうひとつは、マイナンバーカードの保有者に、1人3万円相当のポイントを付与するという内容です。
■政府は18歳以下へ一律10万円給付を検討
ホラン千秋キャスター:
衆議院選挙で各党が掲げていた現金給付についてです。関係者への取材で、政府が新型コロナ感染拡大で影響を受けた人への支援策として、現金10万円を給付することを検討していることがわかりました。
18歳以下、約2000万人の方が対象になります。方法は前回の現金給付のときのデータが残っていますので、世帯ごとにお子さんがいるところに振り込みを行うということで、所得制限は今のところないということですが、この形というのは、政府が正式に発表したものではありませんので、正式に発表するときに、もしかしたら少し変わっている部分があるかもしれません。
■公明党案採用のワケは・・・
ホランキャスター:
現金給付については、各党が公約に掲げていたんですが、この検討案はどの党の公約に近いものなのかと言いますと、公明党のものなんですね。公明党は、衆議院選挙で『未来応援給付』と名づけて、「子どもたちをコロナ禍から守り抜き社会全体で子育てを応援」とする名目で、0歳から高校3年生の年代まで1人一律10万円相当を支援しますということを打ち出していたんです。
では自民党はどうだったのかと言いますと、「非正規雇用者、子育て世帯などコロナで困っている人に経済的支援」ということでしたので、具体的な数字などは出てきていなかったんです。
ではなぜ公明党の案に形が近いものになったのかといいますと、TBS報道局の遊佐勝美政治部長によると「公明党への配慮ではないか」と。来年の参議院選挙に向け、公明党との団結力をアピールするためではないかというふうに話しています。
■“バラマキ”と批判の声も
ホランキャスター:
この現金給付をめぐっては様々な声が上がっているんですね。もちろん現金をもらって、どのように使うかというのは各家庭の自由ではあるんですが、2020年10月に当時の財務大臣だった麻生太郎さんは「現金10万円給付の効果についてどう思いますか」と問われたときに「(預金が)増えたのは間違いない。預金に回った分が消費に回ってもらわないと」と述べました。
もちろん預金してもいいんですけれども、財務省としては消費に回ってもらって、経済につながればというような思いがあるんだと思われます。
そして、現在の財務大臣の鈴木俊一さんは11月5日、「バラマキの効果に懐疑的な声もありますが?」と記者から問われて、「バラマキという言葉を使うのがいいか分かりませんが、必要なところには予算をつける。けれども、メリハリをつけてやらなければならない」と述べています。
このメリハリという部分が、所得制限などを考える必要がありますよねということなのか、今の形でメリハリがついてるというふうに考えるべきなのか、真意はわかりませんけれども、いずれにしても、メリハリをつけてやらなければいけないという、財務省としての立場なんだと思われます。
■財源は?18歳以上の困窮者は?“メリハリ”はどうつける?
井上貴博キャスター:
給付金という方法自体に個人的には懐疑的なんですが、配るやり方についても所得制限などの基準を設けて対象を絞るべきだという意見もあれば、いやいやスピード感から言ったら、一律にまず配って後から返してもらうのがいいんじゃないかというような案もある。あとは今回のように年齢で区切るのはどうなんだ等、様々なご意見が視聴者の皆さんもあると思いますが。
TBS報道局 牧嶋博子解説委員:
子育て世帯に一律に渡すとなるとやはりお金持ちの方にも行ってしまいますよね。かつ本当に困っている若い世代で、今回のコロナで仕事を失って生活が困窮している人たちもいるので、やはり子育て世帯だけではなくて、そういう本当に生活に困ってる人たちにも給付をすべきだと思いますし、そういう意味で言うとメリハリをつけた方がいいですし。
さてじゃあ子育て世帯だけに一律にお金持ちも含めて10万円をあげたときに、財源が結局将来的に子どもたちの増税につながって、子どもたちがそれを負担せねばならないという可能性もゼロではないわけですよね。
今、財務省は矢野康治事務次官が文芸春秋への寄稿で、財政規律をしっかりしないと、もう際限なく国債を発行して日本は本当に赤字で大変になるよ、ということで、声を上げていますのでそういう意味で言うと財務省はキュッとメリハリをつけてほしいというのは当たり前のことかなというふうに思います。
井上キャスター:
財源はどうするんだろう、というところと、若者をというのはいい考え方だと思うんですけど。私自身30代半ばで、周りにも子どもを作りたくても作れない、作りたくてもできない人が大変多くいる、そういう人たちは対象にならないんだなと。
牧嶋解説委員:
お金がないから結婚できないとか、そういう人たちもいるわけですよ。そうするとそこの世代についてどういうふうに支援するのかということを考えないと、将来的に子育て支援という形には結びついていかない。結婚しないと子どもを産まないのが日本の社会ですから。
■マイナンバーカードで3万円給付の案も
ホランキャスター:
今出てきている形ですと18歳以上は対象にならないんだな、私関係ないなという方ももしかしたらいらっしゃるかもしれないんですが、10万円とは別に、政府が検討しているとわかっているのが、マイナンバーカードを持っている方全員を対象に1人3万円相当のポイントを付与する方向で調整しているということなんですね。
ですのでマイナンバーカードを持っていれば先ほどの10万円と重ねて13万円分を何らかの形で給付されるという方も中にはいらっしゃるんだと思います。
このマイナンバーカードを持っている方に3万円相当のポイントを付与するというのはどこから出てきたのかといいますと、こちらも公明党の衆議院選挙のときの公約に書いてあるんですね。公明党としては、マイナンバーカードの普及促進、消費喚起などのため「新たなマイナポイント」1人3万円相当を付与しますということを明記していたんです。
では、どのようにして配るのかということなんですが、本当に配るのか、どのように配るのかわかっていませんが、一つ参考になりそうなのが、マイナンバーカードを申請した人には、マイナポイントを5000円上限で付与しますというキャンペーンがあったんですね。(2020年9月に開始したマイナポイント事業。付与対象となるカード申請は終了)
そのときどうだったのかというと、マイナンバーカードを申請します。そしてそのマイナンバーカードと皆さんが使っている決済サービス、クレジットカードでもいいですし、交通系のICそれからPayPayなどの支払いサービスのアプリでも大丈夫です。パソコンやスマホで専用サイトやアプリから申し込みをしてもらって、マイナンバーカードと決済サービスを紐付けます。
そうするとチャージや買い物をしたときに利用額の25%分、上限5000円分のポイントを付与しますというものだったんです。ですので2万円分チャージや買い物をすると5000円分ポイントが付与されるというシステムでした。今回もこの形をとるのかどうか、一つ参考になりそうかなという例でご紹介しました。
■現金給付でマイナンバーカードは広まる?
井上キャスター:
マイナンバーカードが始まったときはマスコミは結構批判的に報じたところがあるんですけど、これはもう広がっていくといいなと個人的には思うんですけど。
牧嶋解説委員:
マイナンバーカードの根本的な理念というのはこれによって例えば健康保険証に紐づくですとか、納税するときのいろいろな手続きが簡単になるとか、そういう形で普及させようっていうのが本来の目的だったんですけれど、なかなかそういうのは困るということで国民の間で普及していないですよね。
ただマイナンバーカードがあれば、例えば住民票を取るときや戸籍を取るときに、コンビニなどの機械に入れて必要なことをやれば本当にもうあっという間に出てきますよね。ものすごく便利なので、マイナンバーカードを作った人はその便利さがきっとわかると思うんですけれど、作っていない人は、何かこう政府に対する信頼感がやっぱり薄いのかなという、そこで何か情報が抜き取られるんじゃないか、何か悪用されるんじゃないかってそういう不安があるからなんじゃないかなと思うので。国民に対してこれは安全なものなんですという信頼感を醸成しないと、いくらお金を配りますと言ってもみんな作らないんじゃないかなと思います。(05日17:15)
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