アフガニスタン・カブール空港への攻撃の脅威が続く中、米中央軍司令部は日本時間28日午前、アフガニスタン国内の過激派勢力「イスラム国(IS)」系組織「IS-K」の「計画者」をドローンで攻撃し、標的1人を殺害したと発表した。 米中央軍司令部は米東部時間27日夜(日本時間28日午前)、「地平線を超える対テロ作戦をIS-Kの計画者に実施した」と声明を発表。「無人空爆はアフガニスタンのナンガルハール州で行われた。初期の兆候によると、我々は標的を殺害した。市民の被害の報告は得ていない」としている。 「IS-K」とは、IS系の地元組織「ISKP(イスラム国ホラサン州)」(ISIS-K、IS-Kなどと呼ばれる)のこと。25日夜にカブール空港の入り口で起きた自爆攻撃については、このIS-Kが犯行声明を出した。 バイデン大統領は攻撃後の演説で、攻撃を忘れず許さず、責任者を追い込み「代償を払わせる」と言明していた。 CNNは米政府関係者の話として、バイデン大統領がIS-Kの「計画者」に対する今回のドローン攻撃を承認していたと伝えた。 バイデン米大統領は数日中にカブールで、テロ攻撃が再発する恐れがあると警告している。 ホワイトハウス関係者は、次の数日間が「これまでで最も危険な時期になる」と述べている。 ■空港攻撃の死者は約170人か 複数の地元情報によると、空港入り口での攻撃による死者は、170人に及ぶおそれがある。 カブール空港を管理する米軍は、武装勢力タリバンが掌握したアフガニスタンから何としても出国したアフガニスタン人の退避手続きを今も続けている。 米政府はアフガニスタン市民の退避支援を「最後の瞬間まで」続ける方針を示している。米国防総省によると、信用度の高い攻撃の脅威がいまだ続いているという。 北大西洋条約機構(NATO)加盟国の大半は、すでに輸送機を使った緊急退避作戦を終えた。 フランスは27日の時点で、空港の治安悪化を理由に退避支援活動を終えた。それまでに3000人近くを出国させたとしている。 米軍の撤収期限は8月31日。 カブールで取材するBBCのリーズ・ドゥセット国際報道主任特派員は、複数の消息筋の話として、英米両軍は空港での活動を「終わらせようと」している段階で、「数時間の内」にタリバンが空港の管理を開始すると伝えている。 タリバンは27日夜、自分たちが空港の一部を管理下に収めたと発表した。ただし、米国防総省はこれを否定した。 米国防総省によると、空港内では5000人以上が退避の順番を待っている。米当局によると、安全確保のため、タリバンと協力して、追加策がとられているという。 ホワイトハウスによると、15日にタリバンが首都カブールを掌握して以降、11万1000人以上が退避便で出国した。 米軍の退避支援作戦は今後、出国を希望するアメリカ市民を優先すると、ホワイトハウス関係者は話した。米軍は現在、「様々な手段を使い(米市民が)安全に空港へたどり着くよう」取り組んでいるという。 一方、在カブールの米大使館は米市民に安全への懸念があるため、空港へ自ら移動するのを避け、空港の入り口周辺を避けるよう呼びかけている。 ■爆発は1回 26日午後6時ごろ、米英両軍の兵士が空港に入る人たちの手続きをしていたアビー・ゲートで爆発があった。 米国防総省は当時、イギリスへの避難を希望する人たちを英部隊が受付していた、近くのバロン・ホテルでも爆発があったと発表していたものの、27日になって情報を修正し、爆発は1回だったとあらためて発表した。 ベン・ウォレス英国防相は、ゲート外で待つ複数の家族の合間に、自爆犯が歩いて入り、攻撃に及んだと話した。国防相はBBCに対して、「自爆ベストと、小型の装置だったと考えている。攻撃の危険があったため英部隊が前日までに、集まる人を押し返した境界線まで、実行犯はたどり着き、空港への入場を待つ家族たちの中央へ歩いて行った」と話した。 被害にあったアフガニスタン人の人数は確定していないものの、170人に及ぶという情報もある。米軍関係者13人と、イギリス国民2人、イギリス国民の子供1人も死亡した。 爆発は、空港に入ろうとアフガニスタン人が多く集まっていた下水路の近くで起きた。水の中へ吹き飛ばされた被害者もいるという。 タリバン復権以降、ただでさえ人手不足で苦労していた市内の病院は、次々と運び込まれる被害者に対応しきれず逼迫(ひっぱく)している。 負傷した米兵たちは、ドイツの米軍基地へ救急搬送された。
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