もし妻に先立たれたら、夫の年金はどうなる?老後破綻する可能性もあるので注意!

年金生活をしている夫婦で妻が先に亡くなると、ほとんどのケースで遺された夫の年金収入は大幅に減ることになります。妻のにの死後に自宅に届いた年金通知書を見て、その時になってはじめて、年金の金額が大幅に減っていることに気がつく、そういう方は実際多いのです。中には 毎月の年金収入が半分になってしまった!というケースもめずらしくはありません。でも妻が亡くなって1人暮らしになったからと言っても、生活費すべてが半分になるなんてことはないのです。ですから油断すると、毎月の赤字が溜まっていき、最悪の場合、老後破綻する可能性さえあるのです。

なぜそのような事が起きるのか、ということですが、根本的な原因として今の年金制度が、夫に先立たれた妻よりも妻に先立たれた夫の方が圧倒的に不利になるような仕組みになっているからです。「遺族年金があるから心配ないのでは?と考える人がいるかもしれませんが、妻に先立たれた夫の多くは、遺族年金がまったくもらえなかったり、もしくはもらえたとしても金額がすごく少なかったりするケースがとても多いのです。さらに、妻に先立たれると、夫の年金の手取り額まで減ってしまうケースも少なくありません。

例えば、現役時代は夫婦ともに会社員をしていて、そして今は年金生活をしている夫婦がいたとします。現在の年金収入は、夫が月10万円の厚生年金で、妻が月7万円の厚生年金をもらっていました。(*なおこの事例に限っては話を分かりやすくするために厚生年金に絞って説明をしています)。この夫婦の世帯の年金収入は月17万円ということになります。ところがある日、妻が突然亡くなってしまいました。このようなケースの場合、世帯の年金収入はどう変わるのか見ていきたいと思います。

結論を先に行ってしまうと、世帯の年金収入は月10万円に激減するということになるんですね。どうしてそうなるかと言いますと、この夫は妻が亡くなっても、遺族厚生年金がもらえないからなんです。なんでもらえないのかと言いますと、それは遺族厚生年金の支給要件から外れているからということになります。では、妻に先立たれた夫の遺族厚生年金の支給要件はどうなっているのでしょうか。実は、この支給要件というものは、多くの男性にとってとても不利な要件となっているんですね。

その1つが、「遺された夫の厚生年金の金額」と「亡くなった妻がもらっていた厚生年金の金額」の2つを比較して、夫の厚生年金の金額が妻の厚生年金の金額の4分の3以上だったら遺族厚生年金は支給されない!という要件になっているのです。これは分かりやすく言えば、現役時代に妻の方が稼いでいた夫婦じゃないと、夫は遺族厚生年金がもらえない!という仕組みになっているんですね。なんとも理不尽な要件です。

それと他にもまだ理不尽な要件があるんです。それは夫の年齢と収入に制限というものがあるのです。これは、妻が亡くなったときに、夫の年齢は55歳以上であり、かつ夫の年収が850万円未満であること!という要件なんですね。ということで、男性に対しての要件のハードルは、女性と比べるとあまりにも厳しすぎるくらいの内容になっているのです。

もう一つ事例を紹介します。今度は、夫が自営業で妻は会社員をしていたが今は年金生活をしているという想定です。この夫婦の年金収入ですが、夫は月5万円の基礎年金だけになりますが、妻は月4万円の厚生年金と月5万円の基礎年金をもらっていました。だからこの夫婦の世帯の年金収入は月14万円ということになりますよね。で、ある日妻が突然亡くなってしまった!という場合、遺された夫の年金収入がどうなるのか見てみいきたいと思います。

まずこのケースでは、夫は遺族厚生年金をもらうことができます。その金額ですが、これは「妻がもらっていた老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3相当額」と決まっていますので、4万x3/4で約3万円という事になります。その結果、妻の死後に夫に入る年金収入は、もともと自分の年金だった5万円と遺族厚生年金の約3万で約8万円 ということになります。今まで月14万円の収入だったのが月8万円になるわけですから、世帯の年金収入は約4割減という事になりますね。でも、一人暮らしになったからと言っても、生活費が4割減るわけではないですから、家計は以前よりも相当厳しくなると思われます。ただし遺族年金は非課税ですので、この約3万円は税金がかからず、まるまる手取額になります。

もう一つだけ、事例を紹介したいと思います。現役時代は夫婦ともに会社員で、今は年金生活をしている夫婦がいたとします。今の年金の金額ですが、夫が月15万5千円で、その内訳は月5万5千円の基礎年金と月10万の厚生年金ということになります。一方妻の年金は月12万5千円で、その内訳は、月5万5千円の基礎年金と月7万の厚生年金でした。この夫婦の世帯の年金収入は、15万5千円+12万5千円で月28万円ということになります。ここで、ある日突然妻が亡くなってしまったとします。このケース場合、夫の年金収入はどうなるか見てみましょう。

この夫は、妻の遺族基礎年金も遺族厚生年金もどちらも支給されませんでした。なのでこの夫の年金収入は、もともと本人がもらっていた月15万5千円のみ、ということになります。 今まで毎月28万円だったのが月15万5千円に減ったわけですから、ざっくり言って約半分になってしまったんですね。これは家計的に相当厳しいことが予想されます。ではなぜ、遺族年金がもらえなかったのでしょうか。その原因ですが、まず遺族基礎年金については、18歳未満の子どもがいなかいから!ということになります。そして遺族厚生年金については、妻に養われていたわけではないから!ということなるんですね。これはどういうことかと言いますと、遺族厚生年金が支給される要件の一つに、「死亡した人によって生計を維持されていた人」という一文があるからなんですね。

最後に、妻に先立たれると夫の年金の手取額が減る!と言う話をしたいと思います。これは配偶者控除の関係でそうなるわけですが、妻が生きている時は、多くの夫は、配偶者控除を受けていますのでその分だけ税金が安くなっています。でも妻に先立たれてしまえば、この配偶者控除がなくなるので、手取額が減ってしまうということなんですね。特に収入が多い夫、例えば働きながら年金をもらっているような人は配偶者控除がなくなるとダメージが大きいので要注意です。

動画を見て疑問に思ったこと、また何か聞きたい事があれば、コメント欄に質問をお願いします。

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