ここ数日、世間を揺るがせていたGoToトラベルキャンペーンは、東京発着を対象外とすることが決まりました。この波紋は県内の観光事業者にも広がっています。
<赤羽一嘉国交相>「現下の感染状況に鑑み、東京都の発着、東京都を目的とする旅行、東京都に居住する方の旅行を外し、7月22日から事業を実施する旨、専門家の皆様方のご意見をしっかり頂きたい」
<西村康稔経済再生相>「検査数、陽性率も他の府県と比べて高い。東京を対象外とすることで了解いただきました」
国の観光振興策GoToトラベルキャンペーン。予定通り7月22日から始めるものの、7月16日、いきなりの方針転換で、感染拡大が続く東京が除外されました。
<国の観光庁事務方>「東京は人口比からしても飛びぬけて感染者が多い。GoToキャンペーンは国費を使う事業なので、除外するのは最小限にした」
新型コロナで落ち込んだ観光業の復活の足がかりとして期待されていますが、人口が最も多い都民が対象外となれば静岡県への恩恵も減ります。首都圏と隣接する観光地・熱海のホテルでは、さっそく影響が出ていました。
<ニューとみよし 富岡篤美社長>「キャンセル出ました。今朝の7時にキャンセル通知が来た。東京の方で来週連休に予約していた方ですけど。(きのうからキャンセルは何件くらい?)10件くらい来ている。電話連絡は2、3本。GoToキャンペーンから外れたので見合わせますというお電話」
このホテルでは宿泊客の約3割を都内からの客が占めます。熱海にとって夏は観光のハイシーズンで、7月の予約数も2019年に肉薄する位まで戻ってきていました。稼ぎ時の出鼻をくじかれたような状況ですが、社長は複雑な思いを滲ませます。
<ニューとみよし 富岡社長>「営業的には痛手ですが、現状を考えると仕方がないかと。(東京以外の)お客様から『東京からもいらっしゃるのですか』という問い合わせがあるので、そこは一つ線を引いて自粛してもらうのは仕方ないのかなと思う」
「東京除外」の影響が出ているのは、宿泊業だけではありません。
<山本食品 山本豊社長>「例えば3枚ぐらいコースの予約表があるんですが、池袋・新宿といった東京都から出発して伊豆の方に遊びにきて、弊社でショッピングを楽しんでいただくコースなんですが、すべてキャンセルになっております」
函南町で名産のワサビを販売する山本食品には、様々な旅行会社がGoToトラベルを利用したバスツアーの立ち寄り先として団体予約を入れていましたが、すでにキャンセルが相次いでいます。
<山本食品 山本社長>「東京が除外になると、首都圏から発進される旅行ツアーが大部分を占めていますので、大打撃なんてもんじゃないですね」
関東方面からの団体客が見込めない状況をなんとかしようと、「個人客の取り込み」を模索しています。
<山本食品 山本社長>「(何を作っている?)ワサビ田なんですよ。ワサビミュージアムに来たお客様に現に見てもらおうと作っている最中なんですよ。今後個人のお客さんに対応する形をと思って、ワサビをじっくり見てもらって、ワサビの魅力を感じてもらってと思い、この施設を作っています」
バスツアー会社にとっても「東京除外」の影響は深刻です。
<さわやかツアー 松本博社長>「東京へ行けない、除外されてしまうのは痛いですね。東京タワーやスカイツリー、築地の場外とか、わりと若い人も築地のコース人気なんです。浅草と下町、すごくいいですからね」
この会社ではコロナ発生以前のツアーは約半分が東京方面でした。感染拡大状況も考え、まだ東京行きのプランは再開していませんでしたが、今回の「東京除外」によってますます再開への道のりは険しくなったと感じています。さらに…
<松本博社長>「あ、若者、書いてあった。団体旅行、重症化しやすい高齢者の団体旅行、これは、わかんないですよね」
7月16日、政府の分科会が「若者や重症化しやすい高齢者の団体旅行は控えることが望ましい」と提言したのです。
<松本博社長>「えらいことですよ。だって、ターゲットが年配と若者。ツアーはすごく、厳しくなっちゃいますね」
観光振興が目的で実施するにも関わらず、次々と中身が変わるキャンペーンに、観光業の現場は混乱を極めています。
<松本博社長>「コロナ後の旅行の考え方は全く改めないと、今までのやり方では通用しない。少人数でも行けるタクシーツアーみたいなのも視野にいれなくては。(GoToキャンペーンは)完全、場当たり的ですよね。あまりにも、あまりにも、、、、困ります」 #オレンジ6 7月17日放送
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