エキノコックス症

エキノコックス症, by Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki?curid=133521 / CC BY SA 3.0

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単包条虫の原頭節 多包条虫 エキノコックス症(エキノコックスしょう)とは、寄生虫の1種であるエキノコックスによって人体に引き起こされる感染症の1つである。
包虫症(ほうちゅうしょう)などとも呼ばれる。
エキノコックスとは、扁形動物門条虫綱真性条虫亜綱円葉目テニア科エキノコックス属に属する生物の総称である。
区分すると、単包条虫 Echinococcus granulosus による単包性エキノコックス症と、多包条虫 Echinococcus multilocularis による多包性エキノコックス症に分けられる。
そのうち、単包性エキノコックス症は牧羊地帯に好発し、日本においては輸入感染症として認知されている。
原因は、おもにキタキツネやイヌ・ネコ・タヌキ・オオカミなどイヌ科をはじめとする肉食動物(イヌ科以外の例外もあり)の糞に混入したエキノコックスの卵胞を、水分や食料などの摂取行為を介してヒトが経口感染することによって発生するとされる、人獣共通感染症である。
卵胞はそれを摂取したヒトの体内で幼虫となり、おもに肝臓に寄生して発育・増殖し、深刻な肝機能障害を引き起こすことが知られている。
それゆえ、肝臓癌との誤診を経て外科手術時にエキノコックス症と判明することもある。
無症状の潜伏期間が長く、成人の場合で10年から20年、小児で5年以上かかるといわれている。
患者の98%が、肝臓に病巣を形成される。
嚢胞が小さい感染初期は無症状であるが、やがて肝臓腫大を引き起こして右上部の腹痛、胆管を閉塞して黄疸を呈して皮膚の激しい痒み、腹水をもたらすこともある。
次に侵されやすいのは肺で、咳、血痰、胸痛、発熱などの結核類似症状を引き起こす。
そのほかにも、脳、骨、心臓などに寄生して重篤な症状をもたらすことがある。
また、嚢胞が体内で破れて包虫が散布され、転移を来たすこともしばしばあり、内容物が漏出するとアナフィラキシーショックを起こす。
本虫の引き起こす症状は、大型の条虫の場合よりも重篤である。
患者の腹部断層撮影画像 血清検査 ELISA法により血清中のエキノコックス抗体を検出する。
ウエスタンブロット法 (WB) により抗体陽性確認を行う。
問診 日本では北海道在住か北海道への旅行歴がある(北海道に生息しているキタキツネがエキノコックスに感染している場合があるため)。
理学的所見 関節に骨性の肥大が見られる。
胸部レントゲン撮影、胸部CTスキャン、腹部レントゲン撮影、腹部CTスキャン、カソニ皮内試験、間接血球凝集検査 嚢胞の存在と位置を確認。
腹部エコー所見 石灰化陰影が粒状に認められる。
腹部X線所見 肝臓の部位に一致して卵殻状の石灰化が見られる。
腹部CT所見 嚢胞壁に石灰化が見られる点が特徴的である。
末梢血所見 好酸球増多(一般に寄生虫がいると好酸球が増加することを利用)。
生検 腹腔鏡 発症前の診断と治療開始が重要。
放置した場合の5年後の生存率は30%と言われている。
手術療法 有効な治療であるが、臨床症状が出現した時点ではもはや取りきれない事が殆どである。
また嚢胞の位置と患者の状態から外科的切除が困難な場合がある。
化学療法 手術療法が困難な場合に行われる。
本症に対する内服薬は、1981年(昭和56年)にアルベンダゾール albendazole が開発され、欧米で用いられてきた。
日本でも1994年(平成6年)に認可され、使用が可能となっている。
治療の有効性については質の高い根拠が得られている。
嚢胞を外科的に手術した場合の結果は良好だが、自覚症状が出現した(2次的嚢胞が発達)場合にはそれほど良くない。
発生は100,000人に1人の割合。
世界における疾病負荷(DALY)は最低でも28.5万歳、経済的コストは年間1.94億米ドルとされる。
シベリア、南米、地中海地域、中東、中央アジア、アフリカ、日本北部に多い。
米国ではミシシッピ川下流域、アラスカ、およびカナダ北西部で見られる。
危険因子は牛、羊、豚、鹿との接触、または犬、狼、コヨーテの糞との接触がある。
感染症法4類感染症指定で、原因となる多包条虫が北海道などの緯度の高い地域(38度以北)に生息している。
毎年約20名がエキノコックスに感染しているが、保健衛生指導と犬の定期的な条虫駆除で予防できる。
他に生水を飲まない、発生地の沢水や井戸水は加熱してから使用する、人家にキツネを近づけない…

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