安倍総理の辞任について、海外のメディアは相次いで、その一報を伝えました。CNNは、安倍総理の会見を英語の同時通訳を入れて中継しました。アメリカのトランプ大統領からのコメントは、まだありません。
ただ、ニューヨーク・タイムズは「予測不能なドナルド・トランプのご機嫌を取った。長く権力を持ったにもかかわらず、平和憲法の改正という彼の目的は達成できなかった」と、その仕事ぶりを論評しました。
安倍総理の会見の様子は韓国でも放送されました。中国では、インターネットで辞任会見を見た人が1億人以上に上ったといいます。
◆ワシントン支局長の布施哲に聞きます。
※トランプ政権は今後の日米関係を見ているのでしょうか
ワシントンでは、安倍総理は西側各国首脳の中で唯一、トランプ大統領と親密な関係を築いたことで知られていて、元ホワイトハウス関係者は「あれだけ口の悪いトランプ大統領が非公式の場でも悪口を言わない唯一の外国首脳だ」というくらいです。それだけに「ポスト安倍で名前が挙がっている人たちを見ると、タフなトランプ大統領と渡り合えるのかと心配になってしまう」という声も聞こえてきます。別の国務省関係者は「安定した長期政権のおかげで長期的な懸案も話し合いができていた」と安倍外交を評価する一方、それだけに「次の政権はちゃんと安定するのか。また頻繁に総理が交代することにならないか。」という不安を口にしています。アメリカは中国との対決の時代に入ったと言われていて、その流れはトランプ再選でもバイデン政権でも変わらない、というのがワシントンでの一致した見方です。その対中国戦略の最大のパートナーとして日本は位置付けられています。アメリカの日本への期待は日本が考えている以上に高いといっても過言ではなく、今後、日本が中国との競争から脱落することはないか、ポスト安倍の対中国政策がどうなっていくのか。その行方を強い関心を持ってみています。
◆中国総局の千々岩支局長に聞きます。
中国政府としては、安倍総理に続けてほしかったのが本音です。中国政府は、一気に焦点が“ポスト安倍”に移ってきています。中国政府がポイントとしているのは『安倍外交の継続』。関係改善を続けてくれる人。『安定した政権』を築いてくれる人。例えば、岸田さんは、安倍政権の外交路線をやってきて、中国として、どういう人かわかっている。菅さんはタカ派。中国には厳しい態度ですが、安倍路線を変える人ではない。未知数は石破さん。中国と太いパイプがありませんし、外交の表舞台にも立っていない。一番、中国が警戒しているのが小泉さんだと思います。中国側が「会いたい」と言っても全然会ってくれない。「総理大臣より会えない男」と言われています。中国としては、ポスト安倍は誰になるか、外交路線がどうなるか。ここに焦点が移っています。
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