日本と中国が国交を正常化してから50年を迎える29日、岸田首相と習近平国家主席がメッセージを交換するなど、関係改善へ歩み寄る姿勢がみられました。しかし、中国では今、”反日ムード”が徐々に広まっているといいます。現地でその実態を取材しました。
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29日午後、都内で開かれた「日中国交正常化」記念式典では、50年前の国交正常化の時と同じ酒で乾杯しました。式典では、岸田首相と習近平主席が交換したメッセージが読み上げられ、日中関係の重要性を強調しました。
しかし、今、中国では”反日ムード”が徐々に広がっているといいます。
今月、江蘇省・蘇州の夜の飲食店街を訪ねました。歩行者天国でにぎわい、看板はどれも日本語が目立っていて、多くの人がたこ焼きなど「日本グルメ」を堪能していました。“日本に行った気分になれる”とSNSで話題となり、和服姿で写真撮影できる人気スポットでした。
しかし、現在は和服を着た人は1人もいません。その一方で、目に付いたのが黒色の格好をした人。今年の夏に増員されたという監視員です。いたる所に立っていて、周りを見回しています。撮影する人を見つけると、静かに近づいて見張っていました。
監視態勢強化の背景には、この街で起きた“ある事件”が関係していました。和服姿で撮影していた女性に対し、警察が怒鳴る映像が中国のSNSに投稿されました。
女性
「撮影に来ただけです」
警察
「中国服ならこんなことは言わない。でも、和服を着ている。おまえは中国人だろ!」
女性
「そんな大声で怒鳴らないで」
警察
「協力しなさい」
女性
「どんな理由で?」
警察
「騒乱挑発罪だ」
女性
「和服を着ただけで?」
警察
「一緒に来なさい」
女性は5時間にわたって拘束され、和服は警察に没収されました。中国のSNSには「和服で出歩くのはどうなんだ」「民族感情を無視している」と、和服の女性を批判するコメントも見られました。
街ではさらに、別の変化も見られます。市内にある衣装のレンタル店では、当初、和服の貸し出しを行っていましたが、和服は店の奥にしまい扱っていないといいます。
衣装店 店員
「和服はありません。ウチは中国服しか置いてませんから」
「和服は敏感な問題だから。国際関係も緊張しているし」
さらに、別の店でも置いてあるのは中国服のみでした。和服を貸し出さない理由について、ある店のスタッフは「今は世論の圧力が大きい」と話します。
背景にあるのは、中国で広がる「日本文化へのバッシング」です。江蘇省・南京市では7月、日本風の夏祭りをイメージしたアニメイベントが突然、中止になりました。「文化的侵略だ」などと批判が続出し、各地で同様のイベントも相次いで中止になりました。
首都・北京では、地下鉄の駅にあった壁画が「日本の浮世絵に似ている」と突然やり玉にあがりました。今月、壁画は覆い隠され、別のイラストが並べられていました。
駅の利用者
「今は中日関係がデリケートなので、ネットで反感を買うのでしょう」
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国交正常化から50年を迎えるも、日中関係は冷え込みが続きます。背景にあるのは、習近平指導部の強硬姿勢です。
習政権としては台湾情勢が緊迫する中、アメリカと歩調をあわせる日本とは大きな溝があります。こうした状況を背景にインターネットを中心に反日的な世論が高まり、気軽に「親日感」を前面に出せない空気が漂っています。
祝賀ムードとはいかない日中関係。この歴史的な節目を機に、風向きは変わるのでしょうか。
(2022年9月29日放送「news every.」より)
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