【解説】年金納付“65歳”まで?  納付期間「5年延長」で支払額“約100万円”増?

60歳以上の人も、年金の保険料を納めなければならない可能性が出てきました。

「5年間、延長?」
「受給額どうなる」
「厚生年金で“穴埋め”?」

以上の3点について詳しくお伝えします。

■国民年金の納付期間“45年間”に延長か 現在は20歳から59歳の40年間
日本の年金制度は、すべての国民が共通して支払う「国民年金」、会社員や公務員などが納める「厚生年金」の他、会社独自の年金制度の「企業年金」や年金払いの「退職給付」などがあります。

今回、注目すべきは「国民年金」です。今年度、国民年金の受給額は月額約6万5000円です。今の制度で20歳から59歳の40年間納付した時の金額となります。

政府はこの納付期間をさらに伸ばして、“64歳までの45年間”にするかどうか、検討に入りました。

■影響を受ける人は…5年延長で支払額“約100万円”増
実際に納付期間が5年延びたらどうなるのでしょうか。国民年金の保険料は、今年度の場合は、月に1万6590円、年間にすると約20万円です。これが5年増えることになり、単純計算で、60歳から64歳の5年間に、約100万円支払う額が増えるということになります。

この影響を受けるのは、国民年金加入している自営業の人、そして、60歳までに退職した元会社員の人たちです。

一方、影響を受けない人は、企業の雇用延長などで64歳まで会社員として働く人です。このような人たちは厚生年金に入っている限り、69歳までは年金の保険料を同時に納める仕組みになっているので、影響がないということです。

■国民年金の納付期間“延長” 街の声は…
今後のスケジュールについて、まず今月25日に厚生労働省の「年金部会」が開かれ、制度改正への議論がスタートします。少し先の2024年には結論を出して、2025年の「通常国会」で改正法案の提出を目指すというスケジュールになっています。街の人たちがどう受け止めているか、17日、聞きました。

パート(40代)
「家計的には非常に厳しいです。若くはならないので、体力的にも働くのも。主人も結構、年なので、生活がどうなるのかな…って」

主婦(50代)
「もう少しだったのに、まだ払う時期が延びるのかっていうので、心配なところはありますね」

会社員(40代)
「いま払っているんですけど、将来的にもらう額少ないのにさらに延びるっていうのは、あまり納得はいかないですね」

■5年延長の理由とメリットは… 何も手を打たないよりは多くもらえる?
なぜこういうことを目指していくのか、そもそも何のための5年延長なのかを改めてみると、その狙いは、「将来、1人1人がもらえる年金額が、あまりにも下がりすぎないようにするため」だということです。詳しく説明します。

年金の財源は、少子高齢化が進み現役世代が減れば、当然、少なくなっていきます。そして、高齢者がもらう、すなわち“出ていく分”、年金の受給の方が大きくなっていきます。これが、究極的には収支のバランス自体が崩れ、年金制度自体が続けられない深刻な状態になってしまう恐れが出てきます。

そこで、政府が2004年に導入した策は、将来、この財源がますます減るのが目に見えているので、“1人1人がもらえる額を、なるべく抑えていこう”というものです。もし、このまま続けていくと、2046年には、国民年金の水準、受給される側の水準は、今より3割弱下がる可能性があります。

これを防ぐために、今、手を打っておこう…ということのようです。

何も手を打たないよりは多くもらえることが想定されますが、ただ、それがどの程度、変わるかというのは、今後の議論もあるのでまだわかりません。

■納付期間“延長”の他にも…厚生年金の一部を「国民年金」に?
この5年延長に加えて、まだ検討されているものがあります。

厚生年金の財源の一部を、国民年金の部分に今より多くまわすということが考えられています。

この仕組みが実行されると、全国民共通の国民年金は手厚くなっていきます。厚生年金の保険料の割合は固定されているので、基本的に納付額には影響はなさそうだということです。

一方、受給額はどうかというと、自営業者の人だけではなく、“一部”をのぞいて、会社員が受け取る年金額の水準については保(たも)てるといわれています。この“一部”について、厚生労働省の試算によると、会社員の世帯でも世帯年収が1790万円を超えると、受給額の水準が下がるとみられています。

ここまで複雑な年金制度についてみてきましたが、年金制度に詳しい社会保険労務士の北村庄吾さんは、現在の年金制度について、「つぎはぎを重ねたことで、当初の仕組みとは大きく異なるものとなった」「制度がコロコロと変わること、わかりにくいことは良くない」と話しています。特に、若い世代の年金不信が募っていくことを危惧しています。

少子高齢化の現実が急に変わらない中、我々の年金を支えるために、もっと若い世代や子どもたちに負担をかけて先送りするのも心が痛みます。

   ◇

「年金」は将来にわたっての支え合いなので、世代や立場を超えた理解が不可欠となります。制度を改めるということになるのであれば、わかりやすい説明、そして、その前提となる丁寧な議論が求められます。
(2022年10月17日放送「news every.」より)

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