ロシア軍“東部の要衝”セベロドネツク包囲へ・・・「第2のマリウポリだ」市民に攻撃も(2022年5月30日)

 ゼレンスキー大統領がロシアの侵攻後、初めて首都キーウを離れ、最前線を電撃訪問しました。反転攻勢が伝えられていたウクライナですが、東部の街・セベロドネツクが「第2のマリウポリになる」と懸念が高まっています。

 黒こげになったアパート。子どもの笑い声が消えた公園も・・・。

 ウクライナ兵士:「今、確認できた数ではおよそ1万5000人が家を失いました」

 大統領の目には、変わり果てた第2の都市の姿が映し出されていました。

 ロシア軍が制圧に失敗した東部のハルキウです。奪還したとはいえ、大統領に笑顔はありません。

 関係者:「ここで多くの遺体が1カ月後、がれきの中から見つかりました」

 ハルキウを電撃訪問したゼレンスキー大統領。兵士たちをたたえます。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「我が国の独立を守ってくれてありがとう。ウクライナに栄光あれ」

 兵士:「英雄に栄光あれ」

 侵攻以来、大統領がキーウ以外の地域を訪問したのは初めてです。兵士を鼓舞する狙い。大統領は“ある街”の存在を口にしています。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「ロシアによる“セベロドネツク”への攻撃の結果、重要なインフラはすべて破壊された。この侵攻のため、どれだけ人命を犠牲にしなければいけないのかロシアは気に留めていない」

 “東部の要衝”のセベロドネツクです。

 ロシア侵攻12日前の映像では静かに雪が降る、ありふれた小さな街。ただ、人口12万ほどの工業都市に穏やかな春は訪れませんでした。

 数週間前、優勢が伝えられていたウクライナ軍。セベロドネツク周辺の状況は一変、ロシア側が攻勢に転じています。ロシア側はドネツク州リマンは制圧したと宣言するなど、周辺の町は日を追うごとに次々ロシアの手に落ち、セベロドネツク包囲の輪は狭まっています。

 アメリカのシンクタンクもロシアの攻勢はピークを迎えると分析しています。

 米・シンクタンク戦争研究所:「“セベロドネツクの戦い”が終われば、どちらが勝とうがロシアの攻勢はピークに達し、ウクライナは反撃を再開。ロシアを押し返す機会を得るだろう」

 イギリスも主戦場はセベロドネツク周辺と分析しています。

 イギリス国防省:「今のところロシアの主戦場は東に40キロ離れたセベロドネツク周辺にあると思われる」

 アメリカやイギリスも注目する今後の戦況を大きく左右する「セベロドネツクの戦い」。

 “最後の砦(とりで)”のセベロドネツクの惨状を間近で見た人に話を聞くことができました。

 物資を届けるボランティア、スタニスラフさん:「市内には水、電気、ガスがありません。インターネット、電話もなく外の世界と連絡する手段が全くありません」

 街に食料や物資を届けるボランティア、スタニスラフさんが撮影したセベロドネツク市内です。ゴーストタウンのような市街地に人影は見当たりません。砲撃の音は鳴りやまず、命懸けの支援を行っています。

 発電機や食料を届けていましたが、それも厳しい状況です。

 物資を届けるボランティア、スタニスラフさん:「市内には8000人ほどが残っています。ロシア軍は人道支援のトラックや赤十字の車も一般市民の車も入れてくれません」

 街に残ることを決めた市民の多くが金銭的に余裕のない人々や高齢者です。

 物資を届けるボランティア、スタニスラフさん:「行く所がない一人暮らし、年配の人も多いです。とても多いんです」

 まだ市街地にロシア兵は見当たりませんが、砲撃は日を追うごとに激しくなっています。あの町の悲劇が頭をよぎります。

 物資を届けるボランティア、スタニスラフさん:「セベロドネツクは第2のマリウポリになると思います。常に砲撃にさらされ、破壊され焼き尽くされ、灰になるでしょう」

 ロシアが支配した地域は、どうなっているのでしょうか。

 ポパスナ、ミコラ・ハナトフ区長:「中心であるポパスナ市も今月8日から占領されました。まだ激しい戦いが続いています」

 セベロドネツクの南にあるポパスナ地区。すでにロシアの手に落ちた区長も、その惨状を訴えます。

 ポパスナ、ミコラ・ハナトフ区長:「5月8日に占領された後、一般市民はロシア支配下の町に強制連行されて行きました。今は町にほとんど人はいません。ロシアは目撃者を連れ去ったうえで住宅や企業の施設で窃盗をしています。もし、セベロドネツクが陥落すれば悲劇的な出来事です」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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