「金への執着すごい」24歳男逮捕 4630万円“誤送金”町に批判「悪いのは役所」(2022年5月19日)

 誤って送金された新型コロナの給付金4630万円の一部をだまし取ったとして、24歳の田口翔容疑者が逮捕されました。田口容疑者を知る人からは「お金への執着はすごかった」という声も上がっていて、町には困惑が広がっています。

 町長は、安堵(あんど)の気持ちを述べています。

 山口・阿武町、花田憲彦町長:「今回の逮捕というのは、真実を知るのに近付いたんじゃないかと。身柄を拘束されて証言が得られるような形になったことについては、お金を取り戻す一つの足掛かりができたのではないか」

 人口3000ほどの小さな町を揺るがせた一件。一報は、18日夕方、防災無線でもたらされました。

 阿武町民:「(防災無線では)一連の経緯を説明されたと思いますけれども、ちょっと声のトーンが小さくて分かりづらいところはありました。やっとこれで町民に向けて説明して下さるんだなというのは感じました」

 ニット帽をかぶり、笑顔でポーズをとる男。18日夜、電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕された無職・田口翔容疑者(24)です。

 ぽつんとたたずむ一軒家に、おととし10月、移住してきた人物です。

 容疑者の自宅の家主:「賃貸だから面識あるよ。普通の子よ。会えばあいさつぐらいしますよ」

 警察によりますと、山口県阿武町から誤って振り込まれたコロナ関連の給付金4630万円を田口容疑者は誤送金と知りながら、自分の金のように装い、スマートフォンで400万円を別の口座に振り替えた疑いが持たれています。本人は容疑を認めています。

 本人の供述:「全額をネットカジノに使った」

 本人も返済の意思を見せているなかでの逮捕。なぜ、このタイミングだったのでしょうか。

 警察関係者:「複数回、聴取に応じていたものの、逃走、証拠隠滅の恐れ、金を使てしまっている犯罪の悪質性も考慮した。当然、余罪についても同容疑で捜査している」

 逮捕された田口容疑者。その人となりが徐々に分かってきました。

 実家アパートの近隣住民:「ひょろっとした若い方だなと。今時の感じの方です。髪の長い方ですね。『ちゃーっす』みたいな感じの」

 実家アパートの同じ階の住民:「エレベーターで待って『お先にどうぞ』と言ってくれた。『お先にごめんね』と言って乗りましたよ」「(印象は?)普通」

 事の発端となったのは4月8日。町から本来の給付金と誤って4630万円が振り込まれました。

 665円しかなかった残高は、4640万665円となりました。

 町はその日に間違いに気づき、田口容疑者と面会。車で金融機関に到着しましたが、そこで態度を豹変させました。

 山口・阿武町、副町長:「下車するなり本人から突然『どうしてほしいか説明の文書をくれ。きょうは手続きをしない』と求められ、その場で振り戻しの銀行手続きを拒否されました。その後も説得を試みましたが、交渉の甲斐なく銀行窓口は営業時間を終了しました」

 その後、連絡が取れない日が続き、田口容疑者と再び会えたのは、誤送金から6日経った14日です。母親と勤務先を訪れた副町長らが説得に臨みました。

 山口・阿武町、副町長:「田口容疑者は役場の非ばかりを述べ、『弁護士と話してから対応する』の一点張りで会話が成り立たないような状況だった」

 その説得をした一週間後の21日、ようやく自宅で3回目となる本人との面会を果たしましたが、“時すでに遅かった”ようです。

 山口・阿武町、副町長:「(先月21日)夕方、自宅を訪問し偶然、屋外でタバコを吸っていた田口翔本人に接触することができましたが、その時『お金はすでに動かした。もう戻せない。犯罪になることは分かっている。罪は償う』との発言があった」

 その翌日の22日、町が公表し、事態が明らかになりました。

 小学校の卒業アルバムには、こう記していました。

 小学校の卒業アルバムから:「(Q.もし地球最後の日が来たら?)所持金を使い果たす」

 その言葉通り、所持金は使い果たされていきます。

 職員が最初に面会した8日から、4630万円は次々とカジノ決済の代行会社へと振り換えられ、残高はみるみるうちに減っていきます。最終的にわずか11日で、残高は6万8743円となりました。

 そもそもは役場のミスだっただけに、こんな声も上がっています。

 実家アパートの同じ階の住民:「罪を作ったのは役所のほうでしょ。それを大きい声で言いたい。間違ってなければ普通に支援金が送られていれば、こんなことにならなかった」

 町長も、胸中は複雑です。

 阿武町・花田憲彦町長:「私たちの町からの交付金の誤振り込みということが発端であったということは間違いのない事実であります」

 なぜこのミスは起きたのでしょうか。阿武町では4月1日に支給対象の463世帯を記録したフロッピーディスクを金融機関に提出。その5日後、田口容疑者の名前だけが記された振込依頼書が間違えて提出されました。

 全世帯に10万円は配られましたが、容疑者の口座には二重に振り込みが行われてしまいました。

 振込依頼書は、名簿の一番上の人のみ記載されるシステムです。銀行コード順に一番上に記載されていた田口容疑者の名前だけが記された振込依頼書ができたとしています。

 その原因についてこんな指摘もあります。

 阿武町議会・米津高明議員:「阿武町では10万円以上は町長の決済がいるようになっている」

 阿武町の米津町議によると、こうした振り込み作業については2人のベテラン職員が行なっていました。今回の振り込み作業は、その一人が新人職員だったそうです。

 阿武町議会・米津高明議員:「そういう所に新人を配属して後のフォローをきちんとそういった間違いが起こらないように室長が細かく配慮する。慣れるまでは。そういうことができていなかった気がする」

 阿武町・花田憲彦町長:「ミスをした職員につきましては本当に責任を感じていて、なんとも申し上げられないようなほど落ち込んでいるという表現ではなく本当に悲惨なような状況」

 阿武町民:「とにかく振り込んだ経緯、一体なぜ文書が銀行に持っていかれたのかというところがまだはっきりしていないので、そのあたりの究明を望みます」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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