10万円の新型コロナ給付金を誤って、一世帯に4630万円振り込んだ問題で、町が全額返還を求める訴えを起こしました。返還を拒んでいるのは24歳の男性で、取材で発覚当日の経緯が分かってきました。
■“返還拒否”男性に“5100万円”提訴
阿武町・花田憲彦町長:「このような事態が発生致しましたことにつきまして、改めて町民の皆様、ならびに多くの皆様に、心からおわびを申し上げます」
山口県阿武町の新型コロナの給付金4630万円が誤って、一人の男性に振り込まれた問題。12日、町は返還を拒んでいる男性に対し、裁判費用などを含む、およそ5100万円の支払いを求め、提訴しました。
返還を拒んでいるのは、阿武町に住む24歳の男性です。この男性の人物像と、どのように給付金が失われていたのか、詳細が明らかになりました。
■24歳移住者「ハンコ必要」銀行で豹変
人口およそ3000人の阿武町。宮本武蔵と巌流島で戦った、佐々木小次郎が眠るとされる墓があるなど、小次郎ゆかりの伝説が語り継がれる町です。
空き家を有効活用するため、移住者を積極的に受け入れている阿武町。男性はおととし10月、山口県内から一人で移住してきたといいます。
阿武町・中野貴夫副町長:「4月8日、当初、男性は金を返す気でいたため、役場職員と共に、金が振り込まれた宇部市の銀行まで車で向かいました」
男性は、給付金の振込先を阿武町から車で2時間の場所にある宇部市内の銀行を指定していたため、4630万円はその口座に振り込まれました。
“金を返す気でいた”という男性と共に、役場の職員が銀行に向かったところ、車中で男性は、こう話したといいます。
男性:「銀行へ行くならハンコが必要だ」
そこで100円ショップに立ち寄り、認め印を購入。宇部市内の銀行に到着しました。ところが、男性は銀行の入り口で突然、次のように話したといいます。
男性:「やはり、きょうは手続きしない。後日、公文書を郵送してくれ」
男性のこの発言から、事態は急転していったのです。
中野貴夫副町長:「突然、手続きを拒否されたその日(先月8日)のうちに、たぶんでありますが、職員と別れた後、本人がカード決済により、多額のお金の引き出しをしていて、その後も、ほぼ毎日お金を動かし、2週間弱で、ほぼ全額が口座からなくなっていたことが判明致しました」
■母の説得にも「役場の非」「罪償う」
男性は、阿武町の隣・萩市内の店で、販売員として働いていたといいます。
男性が、土壇場で返還を拒否した日から1週間後の15日、役場の職員は、山口県内に住む男性の母親と共に、勤め先を訪れ、返還の説得をしたといいます。
中野貴夫副町長:「本人は、役場の非ばかりを述べ、弁護士と話してから対応するとの一点張りで、会話が成り立たないような状況でした」
役場は、この時すでに、男性が宇部市内の銀行から金を移動させていたことを知らなかったといいます。
先月21日の夕方、改めて自宅を訪問した職員は、男性にこう告げられたといいます。
男性:「お金は、すでに動かした。もう戻せない。犯罪になることは分かっている。罪は償う」
男性に、家を貸しているという家主は、次のように話します。
男性の自宅の家主:「賃貸だから面識はある」「(Q.どんな方?)普通の子。男前」「(Q.最後に会ったのは?)先月ぐらい」「(Q.先月のいつぐらい?)ああ・・・どうじゃろう・・・中(中旬)くらいかね。まぁ、何とも言えんね。何とも言えん」
阿武町民:「あんなこと、ようできるなと思って。普通やったらびっくりして、すぐ町のほうに連絡して返しますけどね」
■公金4630万円 取り戻すことできる?
男性が金を移動した先の金融機関は複数あり、役場は一部を把握できているといいます。
花田憲彦町長:「今、弁護士さんが4人付いて頂いていて。私共としては、強い体制を取ったというふうなことでありますし。町民の大切な公金でありますし、それも多額な公金でありますから。何とか、これを取り戻したい」
阿武町の公金4630万円は、取り戻すことができるのでしょうか?専門家は、勝訴の見込みはあるとしたうえで、次のように話します。
民事訴訟に詳しい「はれやか法律事務所」・小林嵩弁護士:「支払いを拒んでいるということがあれば、別途、強制執行の手続きが必要。強制執行手続きは、男性の財産を調べたうえで、その財産に対して、差し押さえを行う手続き。財産の所在、把握などを含め、そこのところが、実際に回収するという観点からすると、もう一つハードルがあるところかもしれない」
(「グッド!モーニング」2022年5月13日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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