調査を進めれば進めるほど、虐殺の計り知れない実態が明らかになっています。
地元当局者:「50人以上の人が殺されました。近くから銃撃されたんです。頭を吹き飛ばされた女性もいました。車の近くで生きたまま焼かれた男性もいました」
キーウ西郊の町、ブゾバ。ここでも、複数の市民の遺体が掘り起こされ、ロシア軍の非人道的な行為が目撃されています。
地元当局者:「水の中に沈めて拷問をしていたんです。(ロシア軍は)獣よ。獣のような人たちよ。それ以外に言いようがありません」
一体なぜ、ロシア軍はここまでの行為をするのか。
虐殺が明るみになるきっかけとなったブチャでは、海外メディアの地元民への取材により、現場にいたロシア兵の特徴が証言されました。
ブチャ市民の証言(AFP通信):「(彼らは)よく装備され、黒と深緑の軍服を着ていて、40歳以上に見えました。私たちに移動することを禁止したのはFSBで、とても暴力的な特殊部隊だと、あるロシア兵から伝えられたんです」
FSBとは、一体どのような組織なのか。かつて、ロシア軍の特殊部隊に同行取材をしたことがある軍事ジャーナリストの世良光弘氏によりますと・・・。
軍事ジャーナリスト・世良光弘氏:「ソ連時代はKGBと呼ばれていて、プーチンが所属していた団体。1990年代にソ連が変わった時にFSBという形で連邦保安庁というのがその中で存続した」
キーウ近郊の民間人虐殺に関与しているのは、FSBの特殊部隊の可能性があるといいます。
FSBの「アルファ特殊部隊」の動画はロシア連邦保安庁のホームページで公開されていて、2019年に設立45周年を記念して作られたものです。
飛行機ハイジャックの訓練映像です。飛行機内で客を人質にとるハイジャック犯。すると、そこに登場するのがアルファ特殊部隊です。
軍事ジャーナリスト・世良光弘氏:「アルファ部隊はロシア軍の特殊部隊よりもっと秘密のベールに囲まれていて、FSBのなかで選抜をして激しい訓練を受けて、グループ自体も約500人と言われていますから。彼らは(特殊部隊のなかでも)一番残虐というか、エリート意識も高いし、2002年のモスクワ劇場占拠事件では129人が死亡して目的のためには手段を選ばない」
武装集団が劇場の観客およそ900人を人質にとったモスクワ劇場占拠事件。目的のためには手段を選ばないというアルファ特殊部隊が取った行動とは・・・。
2002年に起きた「モスクワ劇場占拠事件」の映像。当時、チェチェン独立派の武装集団がモスクワの劇場で人質をとり立てこもった際に、ロシア連邦保安庁、通称FSBのアルファ特殊部隊が投入されました。
この時、アルファ特殊部隊は、犯人全員を射殺しました。
軍事ジャーナリスト・世良光弘氏:「目的のためには手段を選ばない。結構、犯人を全員射殺するので身柄確保するとかではなく強引なやり方をする」
今回、ウクライナのキーウ近郊で起きた民間人の虐殺は、このアルファ特殊部隊が関与している可能性があると世良氏は指摘します。
軍事ジャーナリスト・世良光弘氏:「プーチン大統領の命を受けて直接、ウクライナをナチから解放するんだと動いているということなのではないか。元々、対テロ特殊部隊だから、その地域のテロ分子を全部抹殺するのが目的なので、単に虐殺よりもその地域を制圧した後に投入されて市民からの情報をシャットアウトするという意味もあったのでは」
アルファ特殊部隊を管轄するロシア連邦保安庁の前身は、プーチン大統領がソ連時代に所属していたKGB。そのため、プーチン氏へのアピールもあったのではないかといいます。
軍事ジャーナリスト・世良光弘氏:「様々なことでロシア軍が当初の目的よりも侵攻がうまくいかなかった。キーウ(キエフ)を落とすことができなかったことでプーチン氏はいらだっていた。今アピール合戦になっていたのではないかと思います。部隊の存在をアピールすることによってFSB全体のプーチンへの心象がよくなる、そういった狙いもあったのでは」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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