アゾフ連隊「戦わずして捕虜にはならず」降伏を拒否(2022年4月17日)

ロシア側が「武器を置けば命を保証する」と発表した激戦地・マリウポリ。
番組では、この“最後通牒”について現地を防衛する「アゾフ連隊」に独自取材しました

▽アゾフ連隊「臆病な軍隊と勘違い」
ロシア国防省が市街地全域から、ウクライナ軍を排除したと主張する、南東部の要衝、マリウポリ。
ロシア国防省は、ウクライナ軍の拠点となっているアゾフスタリ製鉄所を封鎖。日本時間の17日午後7時までに武器を置いて、投降すれば、命は保証するとしています。

ロシアの“最後通牒”について、マリウポリを防衛するアゾフ連隊は、先ほど、我々の取材にこう答えました。
(アゾフ連隊)「ロシア人は心からアゾフ連隊が捕虜になることを望んでいる。それは彼らがここ1カ月で一番願っていることです。しかし、ロシア人はアゾフ連隊を自らの臆病な軍隊と勘違いしているようです。『アゾフ連隊は戦わずして捕虜になることはない』ということを忘れている。」
今、マリウポリの戦況はどうなっているのか・・・16日、アゾフ連隊の幹部は・・・
(ウクライナ国家親衛隊「アゾフ連隊」マクシム・ゾリン司令官)「ロシアは膨大な兵士をマリウポリに送り込んでいる。すでに占領した地域からは一般市民を連行し、一部の男性は徴兵され、女性は食事を作らせたりしている。」
マリウポリは、ここ2週間でロシア軍の制圧地域が広がり、街は完全に包囲されています。
ロシア国防省は、15日、防衛拠点とされているイリイチ製鉄所を完全制圧したと発表しましたが・・・
(マクシム・ゾリン司令官)「確かにロシア軍はイリイチ製鉄所に入ることができたかもしれない。しかしそれは、効率的に防衛線を保つため、ウクライナ軍とアゾフ連隊が合流するために、そこを離れていたからだ。」
戦略的な理由から一時的に軍が引き上げていた製鉄所を、ロシア軍が利用しただけだと説明。しかし、追い詰められていることは認めます。
「困難な状況で、ロシア軍の包囲を解除する以外に撤退する方法はない。」
15日、ロシア国営テレビはウクライナ兵1026人が投降したとする映像を公開。この映像については・・・
「確かに、実際に海兵隊の一部が、ロシアの捕虜となりました。しかし大部分の兵士がアゾフ連隊と合流しています。ロシアの常套手段です。例えば、兵士だけでなく工場で働いている人などにロシア軍の軍服を着させる。ウクライナでは使われていない軍服も、この動画に映っている。こうして、彼らを捕虜に仕立て上げるのです。」
アゾフ連隊の幹部は、マリウポリを最後まで守り抜くといいます。
「ウクライナの英雄たちは、精神力だけで耐え抜いている。我々はロシア軍からウクライナ領土を開放する最後の時まで戦い続ける。」
CNNによると17日、マリウポリ当局は“ロシアの降伏勧告”を拒否。ウクライナ軍は、ロシアの最後通牒にも関わらず、マリウポリの防衛を継続すると発表しました。

▽「地獄のよう」“陥落危機の街”の惨状
ロシア軍に完全に包囲されたマリウポリは、建物の9割が破壊されましたが、今も10万人以上の市民が残っています。
大通りにある窓ガラスは割られ、木は黒く焼け焦げていました。
(市内中心部が空爆されました。ほらなんてひどい)
爆撃を受けた街の様子を撮影するのは、マリウポリ生まれのジャーナリスト、アンナ・ドロボッドさん。
(ジャーナリスト アンナ・ドロボットさん)「道路には多くの遺体が放置されており、埋葬や運ぶこともできず、そんなことをしていると、撃たれて死んでしまいます」
1カ月前、ウクライナ西部へと避難したアンナさん。中には、ロシアへ強制的に連れて行かれた人もいたといいます。
「同僚の中でロシア方面にしか行けなかった人もいました。ウクライナへ行くことは許されませんでした。その場で死ぬか(ロシアへ)逃げるかでした。ただ生き延びたかったのです。」

(マリウポリTV オシチェンコ社長)「とても心配しています。仕事をしている仲間と過ごす時間は家族より長いからです」
取材中、言葉を詰まらせるのは、マリウポリTVの社長・オシチェンコさん。
89人のスタッフの内、34人の安否が分かっていません。
「どう話せば良いかわからない。とても心が痛いです。」
現地に残るスタッフからの情報も、ほとんどない状況が続いています。
「現地から映像などをもらうことができません。通信環境がとても悪いので、ショートメッセージや電話しかできない。街では電気が1カ月以上ありません。」

▽「少しずつ慣れて・・・」“激戦地”の生活
ジャーナリストがマリウポリから脱出する一方で、ロシア側からは、難なくマリウポリに入ることができるようです。
(ロシア在住 ウラジーミルさん)「書類に問題がなければ、簡単に市内の出入りができる。ロシア側からは何も制限はない。」
こう語るのは、マリウポリから7年前にロシアに移住しロシア国籍を取得したウラジーミルさん。
連絡がつかない家族の安否を確認するために戻ってきたと言います。
「ガスは全くない。電気もどこの地区にもなく、水も全くないです。」
向かった先は、祖母の家。7年ぶりに訪れた部屋の中は、この通り・・・
(祖母)「ここが、一番被害が大きい」
(ウラジーミルさん)「窓ガラスの破片が飛んでいる・・・」
祖母は無事でした。他の家族の安否も確認できたウラジーミルさんですが、その後も、マリウポリに通い続け市民への支援活動を続けています。
「人々は少しずつ慣れてきて、地下から出て普通の生活に戻りつつあります」
マリウポリに残る人たちは・・・
Q.マリウポリから出る予定は?
住民「いいえ、今のところ残る予定です」
「アパートに砲弾が当たり、被害にあった人も避難せずに残っている。生まれ育った場所に残りたいのです」

▽逆らえば罪に・・・ロ軍“強制徴兵の実態
こうしたなか、プーチン大統領が一方的に独立を承認した『2つの人民共和国』で、ある“異変”が起きていました。
「どこに連れて行く気だ!もう分かった!痛い!!」
「おとなしくするなら、何もしない」
逃げる一般市民らしき男性を追いかけ、殴り、無理矢理連行していく、銃を持った男たち・・・人民共和国軍が、市民をロシア側の兵士として強制的に徴兵しているとみられる映像です。
(親ロ派支配地に住むウクライナ人 ドミトリーさん 仮名)「今は外に出たら“強制徴兵“されます。徴兵担当官がすぐにやってきてバスに乗せ、集められて戦場に送られるのです」
こう語るのは、今もドネツク市内に住む、ウクライナ国籍の若者たち。『これがドネツクだ』と題された、およそ34万人が登録する、この情報交換サイトには、真偽は定かではないものの、『街で徴兵が続いている』と記された、多くの画像が挙げられていました。
(ドミトリーさん 仮名)「(強制徴兵されるのは)健康な人たちだけではありません。病人も徴兵されます。多くの人が戦場で亡くなっています。集めるだけ集めて治療すらしないのです」
また彼らは、同じウクライナ国籍の友人も“人民共和国軍”として、強制的に、戦地に送られたと言います。
(ドミトリーさん 仮名)「友人は軍事経験のない教師でしたが徴兵されました。徴兵令状が来て、逆らえば罪になるということでした。」
(ニコライさん 仮名)「彼は徴兵後すぐにマリウポリに送られ、訓練なしで攻撃に参加させられました。戦闘にはかなり恐怖を感じたようですが、後には引かなかった・・・でもそのあと、戦場に出るのを拒否したそうです。」
ロシア軍の制圧も近いといわれる、激戦地・マリウポリ。教師でありながら、強制的に戦闘に加わり、同じ国民と戦った友人は、どんな想いで銃を構えたのでしょうか?
今では途絶えてしまったという、友人とのやりとりを見せてくれました。
(ニコライ)「生きてるか?」
(友人)「まあ、そんなとこかな。とりたてて何もしてないよ。実弾すらもらえなかった。射撃場にも行ってない」
(ニコライ)「要らないだろう。他のヤツらとの関係はどうだ?」
(友人)「悪くはないよ。今後なにも無ければね」
(ニコライ)「良い感じじゃなさそうだな」

(ドミトリーさん 仮名)「この戦争を何と表現したらいいかわかりません。“市民戦争”とは言いたくないですが、なんともいえないもの・・・“愚か”としか言えません」
「日本人は、自分たちの土地に住んでいますよね。自分たちを隣国から守ることができる。しかし隣国がそこを日本の土地ではなく、自分の土地だと言ったら、そこは日本の土地ではないと言ったら、日本人は日本人ではなくなり、戦うことになります。今の私たちのように」

4月17日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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