【会見】ロシアによるウクライナ侵略について[令和4年3月3日]

令和4年3月3日に行いました総理大臣記者会見です。
冒頭発言を2つにわけています。
「ロシアによるウクライナ侵略について」と「新型コロナ対策について」です。

◆新型コロナ対策について
https://youtu.be/hG4cAjpZlM0

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以下、文字起こし
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 本日は、ロシアによるウクライナ侵略、原油高、新型コロナなど、直面する内外の主要課題への対応について、御説明をいたします。
 まず、ロシアによるウクライナ侵略についてです。
 ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、欧州のみならず、アジアを含む、国際秩序の根幹を揺るがす行為です。明白な国際法違反の暴挙であり、改めて厳しく非難をいたします。
 今回のような力による一方的な現状変更を決して許すことはできません。国際秩序の根幹であるこの原則を守り抜くことは、東アジアの安全保障環境が急速に厳しさを増す中、我が国の今後の外交・安全保障の観点からも極めて重要です。我が国は、国際社会と結束して、毅然(きぜん)と行動してまいります。
 ロシアの核抑止力部隊が警戒態勢を引き上げたことは言語道断です。唯一の戦争被爆国であり、また、被爆地広島出身の総理大臣として、核兵器による威嚇も、ましてや、使用も、万が一にも許されるものではないことを、首脳外交や、国際会議の場で、強く訴えているところです。
 我が国は、主権と領土、そして祖国と家族を守ろうと懸命に行動するウクライナの国民と共にあります。国難に直面するウクライナの皆さんを支えるため、ポーランドなど周辺国に避難された方々や子供への支援を含め、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)やUNICEF(国連児童基金)などの国際機関と協力し、1億ドルの緊急人道支援を行っていきます。
 ウクライナの人々との連帯を更に示すべく、ウクライナからポーランドなど第三国に避難された方々の我が国への受入れも進めてまいります。
 我が国は、G7各国、国際社会と共にロシアに対して強い制裁措置を採っていきます。その観点から、プーチン大統領を含むロシア関係者等の資産凍結に加え、本日、ロシアの財閥であるオリガルヒなどの資産凍結についても決定いたしました。
 金融面では、欧米と共にロシアを国際金融システムや世界経済から隔離するため、ロシア中央銀行との取引を制限する措置に加え、本日、SWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの7つの銀行を排除するために必要な国内措置を採りました。あわせて、国際合意リスト品目や半導体など、汎用品の輸出管理強化といった制裁も講じています。
 さらに、今回の侵略に対するベラルーシの明白な関与に鑑み、ルカシェンコ大統領を始めとする個人、団体への制裁措置や、輸出管理措置など、ベラルーシに対する制裁も本日決定をいたしました。
 邦人保護に全力を尽くしてまいります。私自身、昨日、ポーランドのモラヴィエツキ首相との電話会談で、ウクライナ在留邦人のポーランドへの円滑な入国等に協力を要請し、先方からは、最大限の支援を提供する旨、発言がありました。ポーランドから他の国へ移動するためのチャーター機も手配済みです。引き続きウクライナのリヴィウ市及びウクライナ国境に近いポーランドのジェシュフ市に開設した臨時連絡事務所を中心に、在留邦人の安全確保や出国支援に取り組んでいきます。
 私自身、首脳外交を積極的に展開していきます。今週もウクライナ、フランス、ドイツ、ポーランド、ラオスの首脳と電話会談を行い、バイデン大統領主催のG7、NATO(北大西洋条約機構)などとの首脳電話会議にも出席をいたしました。この後、23時からは、日米豪印の首脳テレビ会議に出席し、ウクライナ情勢への対応について意見交換を行う予定です。
 情勢は日々変化しています。制裁などでは、G7各国との緊密な連携を図りつつ、アジア各国に働き掛けるなど、我が国として事態打開に向けた貢献をしていきます。
 今回の事態を受けて原油価格が高騰を続けています。原油価格の代表的な指標であるWTIの原油先物価格は、先週末に1バレル91ドル台でしたが、今朝の時点で1バレル110ドルまで急騰しています。この事態に対し、国民生活や企業活動への悪影響を最小化する観点から、緊急対策を取りまとめ、明日、公表いたします。一般予備費を3600億円強活用し、今、お困りの方に対して迅速に支援が行き届くよう対応していきます。
 まず、当面の間の緊急避難的措置として、燃油価格の激変を緩和するために行っている支援を大幅に拡充・強化いたします。現在、5円を上限として激変緩和事業を行い、燃油価格の上昇を抑制していますが、ウクライナ情勢の緊迫化を踏まえ、支給上限を最大25円に大幅拡充し、直近の小売価格からの上昇分を補助することで急激な石油製品の価格上昇を抑制いたします。
 加えて、漁業や施設園芸に対する重油価格高騰分の補塡を拡充するほか、タクシー事業者に対するLP(液化石油)ガス価格高騰分の補?を激変緩和事業並みに大胆に行うとともに、地方自治体を通じ、灯油購入支援や暖房費支援など、国民生活への影響を緩和するための支援を行います。
 さらに、ウクライナ情勢、原油価格上昇の影響を受けている中小企業の資金繰りに万全を期すため、全国1,000か所に融資の特別相談窓口を設け、低利融資により支援していきます。
 詳細は明日、関係閣僚会合を開催して決定した後、官房長官から発表いたします。
 また、ウクライナ情勢の進捗も踏まえつつ、来年度も引き続き原油価格が上昇し続ける場合については、国民生活や企業活動への悪影響を最小限に抑えることができるよう、何が実効的で有効な措置かという観点から、あらゆる選択肢を排除することなく、政府全体でしっかりと検討し、対応してまいります。
 エネルギー問題は1国だけでは対応できない、国際的な課題です。IEA(国際エネルギー機関)を始めとする国際機関や、主要消費国であるG7各国と連携しながら、エネルギー市場の安定化やエネルギー供給構造の在り方、エネルギー資源の偏在などの課題に取り組みます。
 私たちは、ロシアのウクライナ侵略という極めて深刻な事態に直面をしています。エネルギー価格高騰による我が国経済への悪影響を少しでも減らすべく、これまで以上の省エネに取り組み、石油やガスの使用を少しでも減らす努力をしていただくことが大切です。国民の皆さんお一人お一人の御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

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