手塚治虫さんや石ノ森章太郎さんら、日本を代表する漫画家が暮らしたアパート「トキワ荘」を再現した「トキワ荘マンガミュージアム」(東京都豊島区)で30日から「トキワ荘のアニキ 寺田ヒロオ展」が始まり、トキワ荘出身の漫画家、藤子不二雄Aさんが初めて施設を訪れ、寺田さんとの思い出などを語った。
寺田さんは「背番号0」「スポーツマン金太郎」などで知られ、昭和28~32年までトキワ荘に入居。漫画家仲間からは「テラさん」の愛称で呼ばれ親しまれたという。藤子さんは同時期、20歳から約7年間入居していた。この日は施設を初めて見学し「トキワ荘の再現は驚いたと同時に感激。20歳のころが蘇って泣きそうになった」と話した。
寺田さんの漫画については「トキワ荘の中で唯一、手塚先生の影響を受けていない」と評価。酒を飲んだ思い出を披露し「(寺田さんは)サイダーを焼酎で割って『チューダー』なんて言ってた。ほとんど漫画の話はしなかった」と振り返った。また当時、毎月の家賃の支払いが苦しかったことから寺田さんに工面してもらうこともあったと振り返り、「(月末になると)『家賃大丈夫?』と向こうから聞いてくる。寺田バンクって陰で呼ばれていた」と笑いを誘った。続けて、「テラさんいなかったらみんな途中でトキワ荘を出てる。本当に恩人」「3歳しか違わないのに兄というよりお父さんみたいだった」と人柄をしのんだ。
企画展に合わせ、2階にはこれまでなかった寺田さんの居室を再現。1階には作品展示やグッズ販売が行われている。企画展は来年1月11日まで。事前予約制。
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