「死にたい」子どもを自殺から救うには… 夏休み終わりに増加

夏休みが終わるこの時期は子どもたちの自殺が増える傾向にあります。東京都内各地では命の尊さを考える取り組みが進んでいます。

 港区で始まった展示会では、いじめなどで心と体を傷つけられ亡くなった13人の子どもたちの写真や言葉が紹介されています。この展示の中で、ぬいぐるみを抱いて穏やかな表情を浮かべているのは小森香澄さん(当時15)です。香澄さんが自ら命を絶ったのは、20年前のことでした。母親の美登里さんは「娘は高校1年生の時に亡くなった。亡くなるまで入学から3カ月半という期間だった。その苦しみを、その身に心に受け続けていた香澄にしてみたら、どれほどつらかったろう、どれほど長い苦しい日々だったかと、いま改めて想像している」と語りました。

 美登里さんは、娘の香澄さんのように苦しむ子どもをなくすため、いじめ問題の解決に取り組んでいて、この時期はより注意深く子どもを気に掛けてほしいと訴えます。美登里さんは「今、1学期のいじめが解決できずに苦しんでいる子どもたちがいる。その子どもたちにとって(夏休みが終わろうとしている)今、命のカウントダウンが始まっているといっても過言ではない」と訴えます。

 例年、子どもの自殺は夏休みが明ける直前の8月下旬から9月1日にかけて増える傾向にあります。生活環境が大きく変わり、精神的な動揺が生じやすいためと考えられています。

 埼玉県川口市に住む女性は、中学校でのいじめが原因で当時2年生だった息子が不登校になったといい、クラブ活動の部員から暴力や無視があったと明かしました。母親は「(息子は)部活中にいきなり顔を殴られる、突き飛ばされる、首が絞まった状態で引っ張られ倒され引きずられた」と当時の様子を語りました。また、インターネットには実名で息子の誹謗(ひぼう)中傷が書き込まれ、次第に自傷行為をし、「死にたい」と口にするようになったといいます。

 この時、母親は「学校に行きたくない」と訴える息子を、無理に登校させませんでした。母親は「自傷行為の後『絶対に守ってあげるからね。絶対にお母さんが守ってあげるからね』と息子に伝えた」と話し、「親は、なぜ学校に行きたくないのか無理やり問い詰めるのではなく、子どもが話してくれるのを待つ。待って、話してくれたらとにかく共感することが、子どもに安心感を与える」と語りました。そして「そばにいる大人が、子どものちょっとした変化にも気付いてあげられなければ守れないと思う」と話しています。息子は4月から高校に進学し、精神を安定させる薬を服用しながら毎日登校しているということです。

■東京都いじめ相談ホットライン 電話0120-53-8288(24時間受付)
※いじめ以外の相談も可能

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