プーチン大統領“勝利宣言”中身は?“侵攻”どこまで?・・・狙いは「ロシア帝国」復活か(2022年5月6日)

 ロシアのプーチン大統領は、対ドイツの戦勝記念日である9日に「勝利宣言」し、侵攻を継続する意向が報じられています。何をもって、「勝利」とするのか。また、侵攻はどこまで拡大させるつもりなのでしょうか。

■プーチン大統領「勝利宣言」中身は?

 プーチン大統領は、9日の「対独戦勝記念日」に合わせ、何らかの「勝利宣言」をするとみられています。

 全土制圧を果たしていない状態で、プーチン大統領は何をもって、「勝利」とするのでしょうか。

 これまで、30年にわたりロシアを取材し続けてきた、武隈喜一元モスクワ特派員に聞きます。

■ロシアにとって「勝利」とは?

 ロシアでは、一度始まった軍事行動が「負ける」ことは、伝統的に許されません。

 「勝った」という印象を与えて、ロシア国民を納得させることで、区切りを付けるのではないでしょうか。地図で説明します。

 ロシアの苦戦が伝えられるなか、プーチン大統領が「勝利を印象付けることができるポイント」があるといいます。

 まず、「ルガンスク」と「ドネツク」という、2つの地域を完全制圧して抑えることです。この2つの地域は、すでにロシアが「人民共和国」として承認しています。

 そして、クリミア半島は、すでにロシアが編入していて実効支配しています。そして、ウクライナ全体は、すでにNATO(北大西洋条約機構)に加盟することを断念する方向に傾いています。

 つまり、こういったことによって、ロシアは「勝った」と言える環境をすでに整えているのです。

 ロシアが「ドネツク」「ルガンスク」「クリミア」の支配を戦果とし、ウクライナのNATO加盟を阻止した点を打ち出せば「勝利を印象付けられる」という理屈です。

■ロシア国民は納得するのか?

 ウクライナ侵攻直後、ロシア国内では、50以上の都市でデモが発生。1000人以上が拘束されました。

 果たして、ロシア国民は、現状に納得しているのでしょうか。

 ロシア国民には、ソ連崩壊後の貧困と屈辱は、「アメリカをはじめとする西側のせいだ」という怨念があります。また、反プーチンの民主化運動は、「西側の手先」だと多くの国民は考えています。

 もともと、“フェイク”な口実とプロパガンダの戦争のため、勝利宣言そのものが“フェイク”であっても、それを検証するロシア国内のメディアもありません。

 ロシア国民を納得させることはできると思います。ただし、死亡した兵士たちを「ロシアの英雄」として、祭る大々的なキャンペーンが必要になると思います。

■プーチン政権 転覆の危機は?

 ささやかれる軍や情報機関の“プーチン離れ”。幹部が反旗を翻し、クーデターに及ぶ可能性はないのでしょうか。

 ロシアでは、「軍」と「FSB」の2つが権力基盤のすべてです。「FSB」は元のKGB、つまりスパイ組織です。

 プーチン大統領は、この2つの組織を分断して、そのバランスのうえに、権力を築いているわけです。

 プーチン大統領の人事は、極めて巧妙です。FSB幹部には、ボルトニコフ長官らKGB時代からの同僚を配置し、「特権」を与え、ある種、法を超えた権限さえも与えています。

 一方の軍の方も、FSBに監視をさせつつ、ソ連以来の「軍は政治に関与しない」という原則のもと、プーチン大統領が最高司令官として、絶対の命令権を持っています。

 一方、軍のほうも「オリガルヒ」同様、特権を使って私財を蓄積して、汚職まみれで大金持ちになっています。

 このように考えると、利権を与えてくれるプーチン大統領に対するクーデターは起きないだろうと思います。

■「戦争」の拡大はどこまで?

 国連・グテーレス事務総長:「安全保障理事会は、この戦争を防止し、終わらせるために、全力で努力することに失敗したことを明確にしたい」

 ロシアのウクライナ侵攻は、短期決戦が失敗に終わり、終結まで数年かかるとも言われています。

 カービー米国防総省報道官:「交渉に応じる兆しはみられず、この紛争は長期化するだろう」

 トラス英外相:「長期戦に備えて、ウクライナへの支援を倍増する必要がある」

 黒海沿岸を手中に収めつつあるなか、“プーチンの軍隊”は、どこまで攻めていこうとしているのでしょうか。

 すでにロシアは、他の地域への侵攻の可能性についても言及しています。それは、ウクライナの西にある「モルドバ」です。

 この朱色の地域は、ロシアが18世紀の後半に、トルコから奪い取った地域です。当時は、「ノヴォロシア=新しいロシア」と呼ばれていました。プーチン大統領も、この言葉を使っています。

 ウクライナ西部の街・オデーサへの攻撃が苛烈(かれつ)を極め、最終的にはモルドバまで及ぶとされています。

■狙いは「ロシア帝国」復活か

 広大なノヴォロシアを獲得し、領土を拡大した女帝・エカチェリーナ2世。プーチン大統領は、ロシア帝国の復活を狙っているのでしょうか。

 プーチン大統領の後ろに飾られた、初代皇帝・ピョートル1世や、オスマン帝国との2度の戦争に勝ち、ウクライナや現在のクリミアを併合した女帝・エカチェリーナ2世。

 プーチン大統領のウクライナ侵攻は、この「エカチェリーナ2世」の行動をなぞっているとの見方もあります。

 「ロシア語」を話し、「ロシア正教」を信じる人たち。そうしたロシア人が住む地域がロシアであって、その地域はすべてロシアが支配すべきだという考え方です。

 こうした考えにのっとって、東部を陥落させ、マリウポリを執拗(しつよう)に攻め、ヘルソンを支配に置き、オデーサを攻撃し、そして最終的には、モルドバまで勢力範囲を広げようとしているわけです。

 もしこれが実現すると、エカチェリーナ2世の時代のロシア帝国最大の勢力範囲と重なります。特に、モルドバの「沿ドニエストル地方」は、「ロシア語を話す住民が抑圧されている」とし、軍事介入を示唆するきっかけとなっています。

 “プーチンの軍”は、ここまで進んでくるのでしょうか。

 プーチン大統領は、ロシア正教の信仰と伝統を重じる姿を見せてきました。去年の映像では、マイナス6度の寒空のもと、伝統行事「主の洗礼祭」で、水に体を浸します。

 帝政ロシア時代、「神の代理人」として権力を振るった「皇帝」に、プーチン大統領は自らの存在を重ねているのでしょうか。

(「グッド!モーニング」2022年5月6日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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